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【支援の工夫】 のんびり家3F 君塚

2013年04月10日 | のんびり家::のんびり家 3F

3月に入りようやく厳しくてしつこかった寒さも和らぎ始め、徐々に春らしい暖かさを感じられるようになりました。
のんびり家3階では幸い今年の冬にインフルエンザやノロウイルス等に感染した入居者さんやスタッフは1人もおらず、軽い風邪をひかれた方がスタッフを含め数名出た程度で済むことができました。ただ、寒さが和らいでも季節の変わり目には何かと体調を崩し易いので、引き続き入居者さんの体調や自分自身の体調管理には油断することなく十分気を付けたいと思います。
さて、今回は私が担当させて頂いているSさんについて書きたいと思います。Sさんは笑顔がとても素敵な女性で、居間で面白い話をしていると大声で笑ったり積極的に話をされたりするとても明るい方です。また近所を散歩していると、すれ違う人に笑顔でお辞儀をされる社交的な性格の持ち主でもあります。ただ認知症の症状も進行していて自分でうまく意思表示ができず、排泄や更衣そして入浴などはかなりの部分でスタッフの介助が必要な状態です。歩行も多少のふらつきがあり、体力的な面からも長い時間歩き続けることは困難です。
私達の仕事はSさんのような認知症の状態にある入居者の方を支援することですが、単なるお世話係ではありません。入居者さん一人ひとりの状態や能力に合わせて自立できていないところを部分的にサポートします。例えばSさんの場合だと箸やスプーン等を使い食事を召し上がることはできますが、食事を作ったり運んだりすることはできません。そのため私達スタッフは食事作りをしてテーブルに並べ箸等を出して、Sさんに「これから食事ですよ」ということを気付いてもらうための環境作りを行ないます。一般的な発想だと食事を作りテーブルに出して「はい食べて」と箸を渡せばそれで仕事をしたことになると思われるかもしれませんが、私達の仕事の世界では違います。いくら食事の準備を完璧に行なったとしても、Sさんが食事に気付き自分で召し上がろうとされなければ、私達の支援の仕事の成果としては失敗となります。この場合だと、Sさんに食事であることを認識してもらうための「工夫」こそが、私達の本当の仕事であり腕の見せ所となります。
私は学生時代にジムに通いウェイトトレーニングを4年間やってきました。そこでは少しでも多くの負荷をかけてトレーニングを行い、筋肉を増やす工夫がされていました。その工夫とは例えばバーベルを何回か持ち上げているとそのうち疲れて完全には持ち上がらない状態となりますが、そこで横に待機していたトレーナーが軽く押してバーベルが少し持ち上がるくらいのサポートをします。この作業により筋肉には限界に近い負荷をかけ続けることができ、1人だけのトレーニングでは決して得られない成果を出すことができるのです。私達の支援の仕事にも同じことが言えて、入居者さんの能力の限界を見極め、必要最低限のサポートしか行なわないことにより最大の負荷をかけてあげるのです。このようなやり方で認知症の進行を最低限に抑え、入居者さんには自分らしい自立した生活を送って頂けるのではないかと思います。

07:08 | Posted by admin