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【豆苗の想い】  きみさんち 志寒

2017年02月28日 | きみさんち

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皆さんは豆苗(とうみょう)という野菜をご存知ですか?
エンドウ豆の若苗のことで、びっしりと四角形に苗床を整えたエンドウ豆から、みずみずしい茎と小さな若葉が伸びています。青臭さはわずかにあるものの、シャキシャキした歯ごたえと炒め物からサラダまで幅広く使える便利さで入居者の皆さんにも人気です。
ただ、入居者さんの人気の秘密は食べたあとのこと。苗を刈り取って残った根元を皿に入れ水に浸しておくと、また新しい苗が育つのです。その成長の様子を見て「かわいいねぇ、よく育ったねぇ」と柔らかなまなざしで眺めては楽しんでおられます。一度は伸びた豆苗を食べようと相談していたら、それはかわいそうだと庭に植えられ、エンドウマメが育ったことがありました。
もちろん、豆苗に限らず、皆さん、園芸や植物はお好きですが、とりわけこの豆苗が人気なのは、目に見えて成長していくところがわかることかなと感じます。
成長する、育つ。育っていくものへの喜びというのは大げさに言えば“未来”を期待することへの喜びなのではないでしょうか。
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“育つ”と言えば、私は管理者として、スタッフをどのように育成しているのかと質問されることが多々あります。私にとっては悩ましい質問の一つです。なぜかといえば、私は特段、意識して育てている感覚はないし、実感で言えば、『多少なりとも目や手や気をかけているうちにいつの間にか育っている』といえば近いでしょうか。ですので、育成法と言われても、改めて語る言葉も持ち合わせていないのです。
ただ、共に仕事をしていく中で、何か成長を望んでいることは確かで、そこにはともに伸び合う未来への期待、それも、単に業務のことだけではなく、認知症状態にある人への支援を通して築いていく、未来の社会への期待があるのではないかなと思います。
そしてそんな私たちを育てているのは、だれあろう、まさしく入居者さんたちで、常にどこか私たちに、豆苗に注いでいるのと同じ、柔らかな、でも切実で期待に満ちたまなざしを注いでいるのを感じるのです。
一年が終わろうとしています。今年もいろいろな出来事がありました。悲観的な私という人間は困ったもので、ついつい、未来への不安を感じてしまうような出来事ばかりを思い返してしまいます。ですが、育ちゆくことへの喜び、未来への期待を忘れずに、新しい年を迎えたいなと思います。

08:44 | Posted by kimisanchi