log

【引き出され、引き継がれる記憶】  きみさんち 志寒

2020年07月13日 | きみさんち

ファイル 507-1.jpg ファイル 507-2.jpg 今年もらっきょうを漬ける季節になりました。
私がらっきょうの漬け方を教えて下さいとお見せすると、Aさんは根も皮もついた生らっきょうをさっさと下ごしらえしていきます。そのうち「あ~・・・これね、Kさんも上手なんだよね~、うん、Kさんも上手なんだよね~」と繰り返し始め、暗にKさんをうまく巻き込もうとし始めます。私はこういうしたたかなやりとりが大好きです。私がまな板と包丁をもう一組持ってくると、結果、Kさんも巻き込まれ、1キロのらっきょうはあっという間に漬け終わりました。
このらっきょう仕事、以前、スーパーで「これ、おいしいんだよ」と生らっきょうを買われたので、漬物つぼをお見せすると手際よく漬けられて以来、きみさんちの年中行事に加わりました。
当初はらっきょうなんていつ食べきれるやらと思っていたのですが、生から作られるらっきょう漬けは香りも歯ごたえもよく、一ヶ月もたたないうちに皆さん食べきられました。
体に染み付いたらっきょうを漬ける技術の記憶、きみさんちにいつから置いてあるのか分からない年季の入った漬物つぼが引き起こす記憶。そして新しく積み重なるきみさんち製のらっきょう漬けの味の記憶。たとえひとつひとつの記憶は忘れ去られたように思えても、それらがうまく出会い、絡み合いながら、らっきょう漬けの歴史は続いていくのだろうなと思います。

10:27 | Posted by kimisanchi