ある町の商店街の終わりの方に野良猫を発見した。
何処へ向かうのか商店街の道路を横切っていた。
「チュッチュッチュ」と舌を鳴らしたところ、野良猫は立ち止った。
そして道の端に素早く移動してこちらを見ている。
何も悪い事はしないよ。ってなオーラを出しつつ近付くと、野良ちゃんも満更でもないらしく、止めてある自転車のペダルや、定食屋の看板に身を擦りつけながら近寄って来る。
さすが、商店街に生息しているだけあって、人に慣れているんだと感心しつつ、可愛いなと、お互い近寄っていく。
適当な所で座って、右手を出して待っていると、更に寄ってきた野良ちゃん。
「おいで、何も挙げられる物ないけど、撫でてあげるよ」
その言葉を信じてか否か、こちらに来て右手に触れてきた。
その瞬間、自分の右手中指と野良ちゃんの鼻先の間に、静電気が“バチイッ!!”
激しく驚き逃げ去る野良ちゃん。
乾燥している自分と、空気と、世の中に、適度な湿気を与えてくれます様に。
そして、冬ももう間近である事を知らされた。
そんな健康診断の帰り路であった。