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【ようやく春ですね】 のんびり家3F 君塚

2012年05月10日 | のんびり家::のんびり家 3F

ずいぶんと長く感じた冬が終わり、ようやく春らしくなってきました。私が今の仕事を始めて9ヶ月が経ちましたが、今回は、昨年の11月に入居されたTさんについて書いてみたいと思います。
Tさんは長身で優しい目をした知的な紳士というのが、初めてお会いした時の印象でした。私が名前を言い自己紹介をすると「そういえば昔、同じ名前の同級生がいたなあ。」と遠くを見つめながら懐かしそうに答えてくれました。
Tさんはレビー小体型認知症と診断されているそうですが、当時のまだ経験が浅い自分には会話をしていても食事作りをしていても、それらしい特徴を見受けることができず戸惑ったことを覚えています。
また一緒に買い物に行くと他の入居者さんは「自分は好き嫌いが無いから何でもいいですよ。」と答える方が多い中で、Tさんは「今日はこれが食べてみたいなあ。」と毎回違う物を選び嬉しそうな表情をされていました。
私達が行なっている認知症状態にある方を支援する仕事は決して楽なものではないですが、このように入居者さんの喜びに繋がる支援ができ入居者さんの笑顔を見ることができた時、お金では買えない貴重な経験をさせてもらったと感じるのは、きっと私だけではないでしょう。
Tさんはユーモアのセンスもあり、女性スタッフに何かを指摘されると「鼻クソ付けるなよ~」と冗談まじりに反論し、周囲を笑わせても下さいました。
今年の元旦にはのんびり家の2階、3階と合同で根津神社まで初詣に行きました。神社の敷地内では猿回しの大道芸が行なわれていたり、出店が多く出されていたりと普段とは違うお祭りのような雰囲気の中で、その場にいた入居者さん全員が楽しまれている様子でした。神社の本殿の前に行くと長い行列ができており「すごい人だなあ。」という声があちこちから聞こえてきました。私達も最後尾に並び、冷たい風が吹く中一歩ずつ前へ進んで行きました。そしてお賽銭を投げてお参りを終えた時、私はTさんに肩をたたかれました。見るとTさんが手を差し出し「これはとっておいて下さい。」とお賽銭の残りを渡してきました。Tさんは渡された3枚のお賽銭のうち1枚しか投げておらず、このようなお祭り気分の中でもお金に対する感覚が少しもルーズになることなく自己管理がしっかり行なえる人なんだと、Tさんに対する認識を改めると共に、Tさんの新しい一面を発見でき嬉しくも思いました。
最近のTさんは腰痛が原因で外出されることはほとんどありませんが、お元気になられたら、また皆さんと一緒にいろいろな場所へ行くことができればと思っています。

07:13 | Posted by admin