Eさんがのんびり家3階に入居されたのが、2012年の夏。
その当時私は、のんびり家3階で、スポットヘルプで勤務に入らせて頂いていました。
そして、Eさんと挨拶をした後。「根津に帰る」と玄関に向かわれ、根津の方面に勢いよく歩かれ、私はその後を(どうしようかと)、どきどきしながら付いて歩いたこと半年。
時には「俺ここにおった」と、根津神社の裏手の住宅街を歩いては、高級マンションに勢いよく入ろうとされたり、「あっ、これ俺のバイクだ」とバイクに記名をしようとマジックをせがまれたり。夏の暑い中、汗をかきながら近所の交番に吸い込まれるように入り、水を頂いて交番の方に「これはポカリスエットですか?」と陽気に聞かれたり。洗濯物が干してあるのをみて「俺のだ」と何とか手に取ろうと真剣になったり。いろいろ悩ましいことがたくさんありましたが、なぜかホームの方々や地域の方々は、Eさんに対してとても優しく笑顔で接しておられました。
Eさんは、ベランダで熱心に野菜を育てておられました。トマトやピーマン、なすびを収穫され、毎日、「見てちょっと」と呼ばれ、自慢げに見せてくれました。夜勤明けで事務作業をしていると「これ、はい」と、つやつやしたピーマンを差し出され、受け取ったことがあります。
ご入居されてから今までのEさんのことを思い出していましたら、このピーマンを受け取ったときの一コマが一番鮮明に思い出されました。Eさんは日々本当にしたいことをされ、人に分け与える、無条件の姿が私には映ったからなのかなと感じました。
現在、93歳。車椅子の生活をされ、よく人の動きや心情など細かく観察され、ご自分の思った事や感じたことなどを、感情豊かに話して下さっています。
これからも、お元気で陽気に暮らされますように。