お寺のよこでは、今年の2月中旬から4月初頭に掛けて4名の方が新たにご入居されました。
4名の方は、それぞれ新しい環境に戸惑い、迷いながら日々過ごしておられるようにも感じます。慣れない共同生活に、自分なりの方法で折り合いをつけたり、バランスを取っておられる姿を見ると、その方の人間性や逞しさを感じるとともに、我々職員が出来ることは何なのかとても考えさせられます。以前からご入居されていた方達にとっても、見慣れない方が期間をおかずに複数ご入居されてきた訳ですから、戸惑われている方もいらっしゃるようです。
以前どっこいしょの記事に書いたことがありますが、昨年お寺のよこでは長年生活をされてきた入居者の方が相次いでご逝去されました。昨年は、6月と11月にご入居された方が2名いらっしゃいます。1年間の中で入居者の方が2/3入れ替わったこととなります。
恐らく、お寺のよこがオープンした平成13年以降、これだけの変化が起こったことはこれまで無かったかと思います。入居者の方は勿論ですが、職員も日々手探りで、ともに生活を創っているところです。
環境が新しくなるとこれまで、当然のように思われてきたこと、深く考えることもなく、行なってきたことが、「本当にそれは当たり前なのか」「もっと深く考えるべきではないのか」と突きつけられる瞬間が多く、改めて人を支えるという仕事の難しさ、難しさ故の楽しさ、おこがましさ(この表現は語弊があるかもしれませんが)を感じさせられることが多くなりました。
前回のどっこいしょの記事で田口が書いておりましたが、新たにご入居された方の誕生日の際に、入居者の方々が口々にお祝いの言葉を述べて、ごく自然にもらい泣きをされていた方が複数名いらっしゃったようです。ある職員がそのことについて「自分の人生の中で、人の為に泣くということがあったかどうか(これからもあるかどうか)。入居者さんは凄いですね」と言っていたことが印象に残っています。ご入居されて間がなかったとしても、その方の存在を他の方達が十分に認めて、ともに記念の日を心から祝う。当たり前のようでいて、実は中々出来ないことなのかもしれません。
ふと見落としてしまいそうな入居者さんの他者を思いやる力。戸惑い、迷っておられることはありながらも、日々の営みの中で、入居者の方は逞しく生活されておられます。我々職員も入居者の方と日々迷い、ゆれながら、ともに過ごしていくことが出来ればと思います。
最後に、前述した誕生日会が素敵なものになるように色々と考えてセッティングをしたスタッフ達の影なる力に、少しばかりの拍手をさせて頂ければ幸いです。