皆さん、こんにちは。梅雨真っ只中のこの時期、いかがお過ごしでしょうか?
どっこいしょ登場も4回目になりました、のんびり家2階の飛鳥井です。
今回は、K・Yさんのことをお話したいと思います。K・Yさんとの出会いは、忘れもしない2年前の7月で、のんびり家2階開設時にご入居されて来ました。
ご入居当初は、自室で殆んどの時間を過ごされ、居間にいるのは食事の時間くらいでした。自室のドア付近にある椅子に座り、居間の様子をじっと伺い、「ぴしゃっ」と言う感じで、ドアを閉めてしまうことが多かったように思います。今にして思えば、とても警戒心の強い方で、新しい環境に慣れるのにご苦労なさったのでは?とも思えます。
K・Yさんの出身地は、江東区の門前仲町(ご本人は、深川と仰います)で、チャキチャキの江戸っ子です。子どもの頃は、花街があったため、近くの銭湯に行くと、お座敷前の芸者さん達がいて、水おしろいを塗っていたこと。一回り違いのお姉さんがいて、一緒に三味線等を習っていたこと。若い頃は、旧海軍省で、タイピストの仕事をしていたこと。また、大阪で喫茶店を経営していたこと。以前は馬主で、ダービーなどに出走する馬を持っていたこと(私は、競馬のことは分からないのですが、結構名前の知られた馬であったとのこと) など、次第にのんびり家の生活に慣れるに従って、ご自身のことをお話して下さるようになりました。
K・Yさんの好物は「お寿司に天ぷら。果物ならメロン」と本当の贅沢を知っている方です。調理も、「面倒くさい」とあまり積極的になさらないこともありますが、実はとても料理上手で、目分量で味付けをしても、ぴたっと味が決まります。昔摂った何とかと言いますが、やはり若い頃に身につけたものは、幾つになっても、例え認知症であっても衰えることはないのだと、K・Yさんから学ばせて頂きました。
K・Yさんは、とてもしっかりした方で、話の内容も明確ですし、理路整然としていて、お話をしていると、一瞬K・Yさんが認知症であることを忘れてしまうくらいです。しっかりしている上に、気が強い方なので、時には他の入居者と衝突することもあります。私とも、意見が合わずに「あんた、あたしに喧嘩売ってるの?」と江戸っ子らしい啖呵を切ることもあります。そんな時、私もK・Yさんに負けず劣らず気が強いものですから、「喧嘩を売っているつもりはありませんが、売られた喧嘩なら買いますよ」と言い返してしまいます。
傍から見ていると、成り行きにハラハラしているかもしれませんが、これがK・Yさんと私のコミュニケーションのとり方なのだと、自己満足かも知れませんが、私は思っています。
ご入居当初は、あまり他の入居者とも職員とも交流を持たないK・Yさんでしたが、実はとても面倒見が良い方で、他の入居者が困っていると助け舟を出したり、職員にも労いの言葉を掛けてくれる等、とても優しい方です。
K・Yさんは、とても整ったお顔立ちで、若い頃は相当もてたに違いありません。今も十分その名残があり、啖呵を切る時のきりっとしたお顔も好きですが、笑った顔がとてもチャーミングで、私は好きです。
ご家族曰く、「若い頃は、相当気が強い人だったが、最近は随分大人しくなって、いいおばあさんになった」のだとか。大正12年生まれで、今年89歳になったK・Yさんですが、いつまでも今の潔さとチャーミングなところを失わず、お元気で生活して頂きたいと思います。
K・Yさん、いつまでもお元気でいて頂くために、私も売られた喧嘩は、いつでも買いますよ。