梅雨のじめじめとした季節になりましたが、きみさんちの庭にはすばらしい紫陽花が咲いています。この紫陽花は入居者さんのOさんが、挿し木から3年育て上げたもの。今ではOさんの背丈を越して、雨の季節にひときわつややかです。
とある夕方のこと。
二人体制の勤務のうち、一人は入居者さんとお買い物。 私は夕食づくりを皆さんと行っていると、ある入居者さんが「夕食までにいったん帰ります」と。
さて、その入居者さん、もろもろの事情で家にはたどり着けそうにありません。また、足も達者でなく、転んだり、疲れで歩けなくなる可能性もあります。ただし、自分の歩行能力を自覚していて、無理そうなら早めに引き返すこともできます。引き留めるかどうするか、判断に迷うところです。
はたして「行ってらっしゃーい」と見送り、きみさんちの玄関先で見守っていました。
ところが今日は気合いが入っておられるのか、今日は恐らく自分では戻れそうにない距離まで、ガードレールを手すりがわりに進んでいます。
さて、そこで一考。
他の入居者さんに「○○さん、杖を忘れて行ったみたい。すぐそこにいるから渡してもらえます?」
「あら大変だ。いいわよー、家族だもの」と快諾。
さてはて、杖を届けて、手を引いたり、励ましたり。そして無事に二人で並んでお帰りになりました。
よっこらしょと玄関先に戻ると、「はいどうぞ」とアイスキャンディをお勧めする私。そこにちょうど買い物から帰られた入居者さんも加わって夕涼み。
入居者さんたちは常に支援を受ける側ではありません。それぞれがそれぞれを手助けしあって暮らしておられます。
杖を届けてもらった入居者さんに
「ありがとう、代わりに味噌汁のみそ、入れといたけど、良かったかね?」と私。
「あらあら、こっちこそありがとうございます。ま、おたがいさまだからね」
その「おたがいさま」の言葉と気持ちに励まされました。