つい先日のこと。朝のバタバタとした時間帯に、入居者のHさんが、買い物にお一人で出掛けて行くことに気付かずに、買い物先の店員の方から「先程Hさんが買い物に来られましたが無事に帰られましたか?」という電話を頂いたことがありました。程なくHさんが帰宅されたので、事故もなく無事で良かったと一安心しましたが、同時に電話を掛けて来て下さった方に対して感謝の思いで一杯となりました。
数年前には、Tさんに、入居者の皆さんで食べる昼食のうどんを買って来て下さるようお伝えをして、お一人で買い物に出掛けて頂いたことがありました。私はTさんがどのようにして買い物をされるのか興味があったのでTさんに気付かれないように少し後から付いていって様子を伺っていたのですが、いつも買い物に行くお店とは違う方向へ向かって歩かれて行きました。どうするのかな?と思って後をつけて行くと、良く散歩に出掛けるお寺さんのある場所の方へ行かれて、その先の商店(そのお店は今はありませんが、日用品を購入する時に良く利用しており、食料品も置いていました)に入って行かれました。Tさんは、暫くどうして良いか分からず迷われていましたが、店主の方にうどんを買いたいことを伝えて、うどんの場所を教えてもらっていました。私は店の外からそっとそのやり取りを見ていたのですが、店主の方が私に気付いて「今、うどんの場所をどこにあるか聞かれて選んでおられる所です」とそっと教えて下さいました。
HさんもTさんもお寺のよこにご入居されている入居者であるということ、その入居者の方が認知症状態にあるということ、認知症状態にあるということはどういうことか、また、お寺のよこでは入居者の方にどのような対応を行っているのか、認知症状態にあっても日常的に買い物に行くことが出来、かつそういった力を持っておられるということ。そういった諸々を地域の方が理解して、そっと見守って下さっているということは、グループホームで認知症状態にある方々を支援している私達スタッフにとってとても心強いことであると再認識しました。
それはこれまでお寺のよこにご入居されていた入居者さん、スタッフが日々当たり前のように地域に出向いて行き、当たり前の日常生活を営んできた蓄積でもあると同時に、そのような日常を通して地域の方々が色々と感じ取って頂きさり気なく力を貸して下さった賜物でもあります。
これからも認知症状態であったとしても普通に買い物、散歩、外食、イベント参加等地域での生活を営むことが出来るよう、スタッフ一同で何が出来るのか、何をすべきかを考えていければと思っています。