私事ですが、きみさんちに来て10年が経ちました。
何も知らずに飛び込んだこの業界で、年数だけはいつの間にかベテランになってしまいましたので、仕事もベテランの域に達すべく、これからも精進して参ります。
もうひとつ私事を言いますと、10月に父親になりました。
勤続10年目にして父親になるという、記念すべき令和元年となりました。
関係者の皆様には、感謝の言葉しかありません。今後とも宜しくお願い致します。
きみさんちのリビングにて。
「この写真見て下さい、私の子供です。この間生まれたんですよ」
「あらあらあら~、なんて可愛いんでしょう。いつ生まれたの?」
10月3日に生まれたばかりの子供の写真を入居者さんにお見せしたところ、私の手から写真を奪い取って、満面の笑みを浮かべて下さいました。
「男の子?女の子?」「男の子です」「しっかりしたお顔をしてるから、そうかなと思ったけど、寝ながら笑って、女の子みたいに可愛いわね」「ありがとうございます」
「いつ生まれたの?」「10月3日です」「可愛いわね~。男の子?女の子?」「男の子です」
そんなやり取りが聞こえたらしく、傍で悶々と過ごしていた入居者さんが「何?どうしたの?」とこちらを気にされたところ、先の入居者さんが「お子さんが生まれたんですって」と、私から奪い取った写真をその方に手渡しました。「え~!あんたの子供なの?本当に?可愛いね~」と仰って、悶々としていた眉間の皺が無くなり、破顔されていました。
今年3月に、妻が妊娠しているのを知らされた時は、本当に驚きました。
結婚しているわけですから、そうなっても当然なのですが、年齢的なことや妻の身体の事情などがあったために、そうなる事を思ってもいませんでした。
そして次に、毎日の不摂生な生活や高齢であるという事が、無事な出産に繋がらないのではないかという思いがありました。
しかし、命の話。人生の話です。
沢山話をして、色々調べて、悩んで、その結果、運を天に任せる事にしたのです。
日毎に大きくなってくる妻のお腹を労わりながら、どんな子供が生まれるだろうか、立派な親になれるだろうかなど、不安と希望を胸に抱いて出産当日までの毎日を過ごしました。
その結果、元気な男の子が誕生したのです。
20年か30年後の老後を迎えるまで、夫婦二人で慎ましく暮らして行くものだとばかり思っていましたが、子供を養い育てて行くという人生が始まろうとは、想像を絶するばかりです。
経験や知識は勿論ありませんので、不安ばかりが襲ってきますが、恐れていては何も始まらないし、子供は育ちません。そして、親として成長はしませんね。
不安の先には必ず光が見える筈。そう信じてこれからの人生を楽しんで行こうと思っています。
そして、現在、生まれてから一月が経ちましたが、忙しく楽しい、大変で喜ばしい日々を送っています。
人生は、いつ何が起こるか分かりません。だから、面白いのかもしれないですね。
写真の行方は、先の入居者さんの手に戻り「本当に可愛いね~。食べちゃいたいくらい。」
「そうはさせません(笑)」
「いつ生まれたの?」「10月の3日ですよ」
「男の子?女の子?」