皆さん、こんにちは。半年ぶりにどっこいしょの記事を書きます。のんびり家2階の飛鳥井です。
今回は、Kさんについて書かせて頂きます。
Kさんは男性で、81歳の方です。昨年の4月にのんびり家にご入居されたので、まだのんびり家では一番新しいご入居者の方です。
Kさんはご入居前の脳梗塞の後遺症で、お身体の右側に麻痺があります。室内では4点杖を使用し、ご自身で歩行されています。杖と手摺を上手く持ち替えながら、部分的に職員の介助が必要な場面もありますが、それでもご自身で歩こうという意志の強い方です。他にも、食べ終わった食器を積み重ね、下膳されることもあります。片方の手に積み重ねた食器を持ち、杖を使用したり或いは使用しないでガス台や調理台のところを伝い歩きされたりしています。
更衣の際、ご自身でタンスから衣類を取り出し、ベッドに座位になり、時には上半身を大きく反らせながら、時間を掛けて着替えをされています。
ご入居時からKさんの担当となり、日頃色々とお話をする機会もあります。
Kさんは、新聞の折り込み広告、特にデパートでの催し物をいち早く見つけ、職員に「行こう」と声を掛けてくださいます。Kさんは思い立ったら即実行の方なので、職員が戸惑っていてもお構いなし。「行こう」と出掛ける気満々でニコニコしています。当日の職員の勤務体制や天候などで残念ながら出掛けられないこともありますが、これまでに池袋のデパートにいちごスイーツや北海道物産展で海鮮丼などを食べに出掛けています。この時に、Kさんがいちごが大好きということが判明しました。今で言うところの「スイーツ男子」でしょうか?Kさんは特に女性に優しく、例えば廊下で行き会ったりすると女性の入居者の方に「どうぞ」と道を譲ってくださるなど、紳士的で気遣いをされる方ですが、独身を貫いて来られたそうです。
先日、ご家族とお話をする機会があったため、思い切って「これまでに、Kさんにも良いお話があったのではないですか?」と尋ねてみたところ、「あったみたいだけどね、ほら、高齢の母の面倒を見ていたでしょう。しかも認知症があったから」とのことでした。ご兄弟などがお母様の施設への入居を勧めても「自分が最後まで面倒を見るから」と頑として受け入れなかったそうです。それでも、ご自宅の近くに良い施設が見つかり、Kさんが仕事前や仕事帰りにも立ち寄れるとのことで、ご入居になり、1ヶ月で看取りをされたとのことでした。
お母様の看取りまでなさったKさんが、お母様と同じ認知症になるということは、本当に神様は意地悪だなと思わざるを得ません。
その一方で、Kさんとこうして巡り合えたことも不思議なご縁なのかなと思っています。Kさんの意志の強さ、時には頑固な一面も垣間見えますが、それは何でもお一人で決めてお一人でなさって来た人としての強さや優しさなのだと改めて感じました。
Kさんは、先日心臓のカテーテル手術を終えて退院されたばかりです。
そして、実はこの記事を書いている今現在、体調を崩されて再度ご入院されています。Kさんが一日も早く回復されて退院し、また「行こうよ」と誘って下さる日を心待ちにしています。