「何してるの?」通りすがりに、下の方から聞えた小さな声が私達に尋ねる。
「ん?ん?」と見ると、七、五、三の和装をしたかわいい男の子がいた。お母さんの自転車の後ろに乗せてもらう手前で、私達が何をしているのか気になったらしい。
他の人が足早に動く中、5人でゆっくり、ゆっくり歩いていたし、私は一人の入居者さんと手をつないでいた。
なんていい質問なんだろう。(子供だけに直球の質問!)と思いながら、「台風が来る前に皆で散歩とお昼を買いに来たんだよ。おじいちゃん、おばあちゃんは80もとっくに過ぎているから、ゆーっくり歩いてこれから帰るところ」と告げると、「じゃあ、こんなのは出来る?」と首をぐ~んと後ろに伸ばして見せた。傍でお母さんが微笑んでいる。
「う~ん!それは無理だなぁ」「着物かっこいいね!」「年はいくつ?」と男の子と利用者さんのやりとりが始まる。
利用者さん全員、ニコニコしている。
男の子との別れ際、それを言おうか、言うまいか迷っていた時だった。Kさんが大きな声で「遊びにおいで!」と言うのを聞いて、私はよかった、余計な事を言わなくて。と思った。
そう、大事な事は本人に言って欲しい。「私達はここにいるよ」って。
その日の外出はとても楽しかった。