昨年度末の3月に、高尾山まで日帰り旅行に行ってきました。
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旅行当日は快晴で、「入居者さん達の普段の行いが良いからだね」などと、バス車内で冗談を言いながら、高尾山を目指して出発しました。
バス発車後15分もしないうちに「あ~お腹空いた。何かないのかしら」と言い出す入居者KKさん。はいはい、予測の範疇です。しっかり、おにぎりやお菓子などを積み込んで参りましたよ。
バスの車窓から外を眺めて「どこ行くんだ?」と何度も訊ねてくるOさん。「高尾山だよ。Oさんも行った事あるでしょ」「高尾山か。良いとこだぞ」「そうなんだ。楽しみだね」
そんな皆さんの中でも、旅行を一番楽しみにされていたのは、やはりKさんでしょう。
バスに乗り込むと「こんなことまでしてもらってどうもありがとう」と丁寧なお言葉です。
まだ行き先が決まっていない数ヶ月前から、「今年の旅行は何処なの?いつ行くの?」と聞いてこられていました。
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まだ何も決まっていないと話すと「行くんでしょ。バスで行くの?バスはここまで来てくれるの?」とKさんの中では何となくプランが決まっている様でした。
行き先と日にちが決まった事をKさんに話すと「あら、ホント。楽しみだね。何着て行こうかな。バスで行くの?」と、もの凄く前向きな返答がありました。
それから旅行の前日まで「旅行楽しみだね。いつ行くんだっけ?何処まで行くの?」と楽しみな事だけを覚えていらっしゃる発言が聞かれました。
その都度「今月の22日だよ。高尾山。とろろ蕎麦が美味しいんだって」と話しをしてきました。
そんなKさんもバスに乗った事で旅行が実現されたと実感されたようでした。
「高尾山は何が美味しいの?」と。「蕎麦が有名なんだけど、特にとろろ蕎麦が美味しいらしいよ」「へ~、あまり食べないから楽しみだね」と、旅行気分が盛り上がります。
その時、KKさんは、車内に積み込んだおにぎりを食べ終え、お菓子を摘んでいました。Oさんは「どこ行くんだ?」と外を眺めながら聞いてきます。
いよいよ高尾山に到着し、ケーブルカーで展望台を目指します。
車椅子の方達も安心してケーブルカーに乗車します。
展望台に到着すると、そこから見下ろす景色がとても綺麗でした。
本当に皆さんの人柄がこの景色を望んだのだろうと感じました。
展望台側にある茶屋処に入り、昼食の時間となりました。
KKさんは、バス車中で沢山食べていたにも係わらず「お腹空いた。何でも良いから早く食べたい。」「とろろ蕎麦が、、、」「それでいいわよ。あなたと同じもので」
KさんとOさんは向かい合わせに座って、仲良くおでん定食を注文されていました。
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はい。ご自分が食べたい物が一番なのです。
普段味わえない、美味しい空気とおでん定食を堪能されて、帰路へと付きました。
両脇にお土産屋さんが並ぶ参道をゆっくり歩き、また、いつもと違う自然の風景を眺められ、皆さんの印象に残った旅行ではないかと思います。
その二日後、Kさんが「旅行はいつ行くの?」と聞いてきた事は蛇足でしょうか。