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【料理をする時間】  お寺のよこ 崔

2021年04月10日 | お寺のよこ

お寺のよこでは、ご入居者さんは料理に遠ざかっているわけではなくて、職員と一緒で毎日の食事作りをしています。

「今日何か食べたいものがありますか?」とご入居者さんの意見を聞きながら、当日の献立を決めます。「お米は研いでくれませんか?」とお声掛けすると、Mさんはいつも何も言わずに、手持ちのピンク色のコップをテーブに置いてから、台所で米糠がなくなり、水が透き通るぐらいまで丁寧にお米研ぎをして下さいます。玉葱、じゃがいも、にんじんなどの野菜を手分けしてから、皆さんは料理に合わせて、輪切り、みじん切りなどして下さいます。カボチャのような硬い食材関しては、お願いすれば、昔鳥焼き屋を経営していた男性のMさんはいつも慣れた手つきでプロの包丁さばきを見せてくいただきます。食材の準備ができ、「これをつけましょう」、「次は揚げましょう」などとそばでほんの少し見守ることで、ご入居者さんはフライパンを巧みに操り、調味料の量を調整してさまざまな料理が作れます。一緒に台所に立って味見をしながら会話することで、普段あまりお喋りしないKさんの顔が生き生きして、自分から話しかけるようになり、Kさんとの距離が少し縮んだ感じもします。

お寺のよこでの生活は、このようにご入居者さんと職員の協力で成り立っています。誰であろうと仕事をしたい欲はみんなそれなりにあると思います。料理をすれば、ご入居の皆さんは自分の経験を生かされたり、役割を果たされたり、笑顔になられます。また、台所に肩を並べて、時間を共有すれば、仲は自ずと深まります。

ちなみに、私は料理をした経験があまりないで、つくっても家族全員誰も食べてくれなかったから、料理が得意ではないと自覚していました。お寺のよこでのアルバイトが決まった時、日本語能力以外、一番心細かったのは食事作りのことでした。「ご入居者さんが食べたいものを美味しく作れないと、どうする?」ととても不安でした。実際に働くと、ご入居者さんと職員がいろいろなコツ教えて下さったため、だんだん簡単な日本の家庭料理が作れるようになってきました。今度帰国したら、家族に味噌汁と豚肉生姜焼きを作って差し上げたいと思います。

17:25 | Posted by kimisanchi

【誠実に生きる】  お寺のよこ 倉澤

2021年03月30日 | お寺のよこ

去る1月11日に「お寺のよこ」の入居者でいらっしゃいましたIさんが救急搬送後転院先の病院にて90歳でお亡くなりになられました。Iさんは「お寺のよこ」で約5年間に渡り生活されておられました。明るく元気で達筆なIさんからは誠実に生きる姿を学ばせていただきました。それは終末期を迎えられた入居者の方にさりげなく寄り添う姿(肩を揉んであげる)だったり、毎日ペン習字の練習をされている姿だったり、Nさんと時には口げんかしながらもトランプの七並べをされていたり、スタッフに労いの言葉をかけてくださる優しい心遣いでした。毎日Iさんは健康が1番よ。お互いに頑張りましょうねと声をかけてくださり、いつか自宅に帰れるという希望を持っていきいきと生活しておられました。残念ながら今年のお誕生日(2月8日)のお祝いをすることが叶いませんでしたがいままでに沢山のことを教えていだだき心から感謝いたします。
そこで今回はIさんを偲び大好きなサムエル・ウルマンの詩を載せさせていただきます。

 青春
 青春とは人生のある期間ではなく、
 心の持ちかたを言う。
 薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
 たくましい意志、ゆたかな想像力、燃える情熱をさす。
 青春とは人生の深い泉の清新さをいう。
 青春とは臆病さを退ける勇気、
 安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。
 ときには、二十歳の青年よりも六十歳の人に青春がある。
 年を重ねただけで人は老いない。
 理想を失うとき初めて老いる。

 ・・・・・・・・・・・・

青春時代を勤務先のボート部で情熱を燃やされたIさん、ありがとうございました。

17:23 | Posted by kimisanchi

【2021年を迎えて】  お寺のよこ 佐藤

2021年03月10日 | お寺のよこ

普通に当たり前に出来ていたことが当たり前に出来ないと気付かされた2020年を振り返り日々、時間を焦らず落ち着いて大切にしたいと心から思いました。

2020年の大晦日は夜勤でしたので晩ご飯は年越しそばのために
他スタッフと入居者さんで天ぷら(桜海老のかき揚げと南瓜)を揚げ懐かしの歌番組
から紅白歌合戦を観ながら「大晦日なの明日は元旦?」「年越しそばか」などの会話をし
「美味しいよ」「美味い」と召し上がり食後は大晦日の雰囲気なしで、ご自分達のリズムで居室に戻られていらっしゃいました。
男性の入居者のUさんが夜中の0時近くに居室にあるポータブルトイレを使用され
リハビリパンツが濡れていたので声がけをして交換させていただくと
「今、何時だ」と時間の確認をされ『今は大晦日から元旦になるところですよ』と伝えると「大晦日から元旦またいでパンツ交換なんてなー世話かけるなー」と。
『そんな、ちょうど良くパンツの交換で年越しなんて出来ないですからね』と2人で
大笑いして年越しをしました。
Uさんと新年の挨拶をした後に、
入居者さんが元気でこんな風に笑いの多い2021年を皆さんと過ごしていきたいと思い
いつもと変わらぬ夜勤業務をし入居者さんの健康を願いながら元旦の御節の盛り付けをしました。

17:00 | Posted by kimisanchi

【終わりの見えない日々】  お寺のよこ 岡田

2021年02月25日 | お寺のよこ

2020年は新型コロナが日本のみならず世界中にも猛威を振るい大騒ぎになったこの年、皆様はどう過ごしたでしょうか。緊急事態宣言があってからはリモートワークをした人や外出自粛でストレスを抱えた人もいたと思いますが、それでも一生懸命に我慢しながら生活した人も多かった事でしょう。宣言が解除されて少ししてからGoToトラベルが始まり色んな所へ旅行に行って久し振りの羽伸ばしをした人もいたと思います。
ただ、それでもコロナ感染は止まる事は無く感染者は日に日に増え続けています。GoToの時も用心して行ったと思いますが、やはり感染に尻込んで遠慮している人も何人かはいたと感じています。それに東京オリンピックが開催されるので、そうなると世界何カ国の人が来るので今まで以上に警戒をして欲しいです。
まだまだ先の見えない日々はあります。それでも気を抜かないで1日1日を大事に生きましょう。

08:33 | Posted by kimisanchi

【作る(創る)意味 】  お寺のよこ 光岡

2021年01月28日 | お寺のよこ

お寺のよこでは毎年10月~11月頃に掛けて1泊2日の宿泊旅行に出掛けています。
本来であれば今年も旅行に行きたかったのですが、コロナ禍であることを考慮して今年は中止とし、代替企画として屋内で入居者さん、スタッフともに楽しむことが出来るお祭りのようなイベントを行うことにしました。
ファイル 532-1.jpeg入居者さんにお祭りで何がしたいか尋ねていったところ色々な案が出ました。
「昔見た映画が見たい」「カラオケがしたい」「鰻が食べたい」「金魚すくいがしたい」「あまり大げさなものではなく皆が楽しめることであれば」「ジュースを振る舞って皆で飲むというのはどうか」等。ご自分の意見を発することが難しい方の場合は、その方がお好きなものや得意なことは何だったかを思い出しながら、それらの案を反映させたお祭りを10月29日(木)に行うこととなりました。
当日は午前10時頃から小津安二郎監督の「東京物語」をDVDで流しながら興味のある方はそれを見るところからスタートしました。往年の名優:笠智衆や原節子に関する感想を仰るUさんや、当時のことを思い出しながらお話されるNさん等、映画が上映された当時の昭和28年にタイムスリップしたかのようです。一方お祭りの時に皆で食べる鰻入りの散らし寿司や焼きそば、たこ焼きの準備を張り切って行うIさんやKさん、13時頃にはそれらのお祭り用の食事が出来上がり、ご自分の好きなものだけ召し上がる方、たこ焼き、焼きそば、散らし寿司、お切込み(Tさんがお得意とされていた群馬の郷土料理。山梨のほうとうのようなものをイメージして頂ければ)と結構なボリュームがあったにも関わらず4種とも全部残さず召し上がられた方等召し上がり方も皆さんそれぞれ個性が見られて楽しかったです。ちなみにTさんはたこ焼きをペロリと召し上がっていました。
昼食が一段落するとジュースを飲みながらのカラオケタイムです。「夜空のムコウ」「岸壁の母」「北の旅人」「見上げてごらん夜の星を」といった歌謡曲から、「故郷」「茶摘み」「靴が鳴る」といった唱歌、童謡まで皆さんで歌いました。Nさんは以前から「オケカラ行こうや」とカラオケに行きたがっておられたので大満足。Kさんの裕次郎ばりの渋い歌声やSさんが笑いながら手拍子をされていたのも印象的でした。
カラオケが終了すると綿菓子製造機で綿菓子を作って食べたり(Iさんが「綿菓子ってこうやって作るんですね。初めて知りました」と感動されていました)、金魚すくいの代わりとしてヨーヨー釣りをしました。お祭りが終了したのが午後4時頃。入居者さんばかりではなく、スタッフも楽しい一時を過ごさせて頂きました。
コロナ禍の昨今、入居者さんの生活の幅が少し狭くなってしまっていますが、入居者さんの意向を聞きながらこのようなイベントを実施出来たことにとても意義があったのではないかと思います。今回のイベントをメインとなって準備をしてくれた岡田さんはじめスタッフの皆さん、当日は勤務ではなかったけれど、当日までのお祭りの準備を入居者さんと一緒に行ってくれた崔さん有難うございました。

17:21 | Posted by kimisanchi

【皆さんこんにちは。】  お寺のよこ 崔所為

2021年01月06日 | お寺のよこ

お寺のよこでアルバイトをしている崔と申します。
周りの留学生に「私はグループホームで介護のアルバイトをしている」というと、必ず「へぇー、グループホームって、何ですか?」と「大変でしょう。どうして介護にしますか?」と聞かれています。
 日本に留学してから、日本語を教えてくださるK先生が「私のお母さんが暮らしたグループホームへ見学してみませんか?」とお勧めしてくれました。それがきっかけで、お寺のよこで働き始めました。最初は「未経験の私は自分より60歳、70歳年上の入居者の方の生活支援ができるのでしょうか」と不安と緊張の思いばかりで、認知症の方々になんでもやって差し上げると思い込んでしまったこともあります。
日常生活で皆様はよく生け花したり、食材を切っていただいたりして生き生きとしています。たまにカラオケ、温泉旅行にも行かれます。(今年入居者さんの一人は東京都知事選挙まで投票されました。)その中で、お寺のよこのスタッフさんは毎日入居者の方の側に見守りして、何かをうまく行えない、できない部分だけを手伝いながら、一緒に物事を終わらせます。
実際に働いて、その姿を見て、私は介護の意味について考え直しました。どんな要介護レベルであっても、入居者の方の一人一人の何かできることを見つけて、それを引き出していくのが介護なのだと思い始まりました。私の仕事はただただそのレベルに合って、その人それぞれの暮らしと生活を支援することです。
今も不安と緊張の思いが決して消えていないですが、生活支援の意味を理解してから、より深く入居者の方と関わりを持てることを楽しみながら、笑顔で見守りしていきたいと思っております。それもこれからこのアルバイトを続けていきたい理由です。

11:04 | Posted by kimisanchi

【お手つないで 野道を行けばと歌いながら散歩するご入居者のSさん】  お寺のよこ 倉澤

2020年10月13日 | お寺のよこ

脳生理学者有田秀穂氏のセロトニン学説によれば、人間に精神的な豊かさをもたらす脳内物質が3つあるそうです。
人に対する思いやり、共感力を育てるセロトニン、意欲を掻き立てるドーパミン、ストレスに抵抗して集中力を高めるノルアドレナリン。これらをバランスよく高める方法のひとつがリズム運動で具体的には咀嚼と呼吸、そして歩行が有効であると。つまりよく歩く人は人間としてレベルの高い生活ができるということのようです。脳内物質の不思議ですね。
現在お寺のよこでは8名の入居者さんが生活しておられます。(1名入院中) 先日Sさん(93歳)が体調不良となりご家族も同席しながら往診を受けられました。職員がSさんの日常の様子を伝え診断をしていただくと熱中症の疑いがあるかもしれませんねと伝えられました。ご家族は入院して点滴することで早く元気になってもらいたいと希望されました。
しかし長年Sさんとおつきあいのある診療所の看護婦長がSさんにとって入院し環境が変わることで不安になり精神的に弱くなる可能性がありますよ。またコロナの影響でご家族も面会が出来なくなるとしたら、お寺のよこで様子を見ながら見守ってあげることはいかがでしょうかと提案してくださりご家族も納得され皮下点滴を行うことになりました。本来であれば2階の居室で行うのですが、お腹に刺した点滴の針が外れてしまった場合に気がつくように1階の居間にベットを用意して対応することになりました。最初は入居者さんも驚いておられましたがSさんは安心して皮下点滴をしながらゆっくりと過ごされました。結果数日でお元気になられ、10日後には職員と手つなぎ歩行で散歩することも出来るようになりました。今回のことでお世話になった診療所の先生、看護婦長、訪問看護ステーションのIさん、ありがとうございました。出会った全ての人が協力してSさんも頑張ってくれました。これからも一緒に歌って散歩して元気にリラックスしましょうね。

19:21 | Posted by kimisanchi

【入居者さんとの会話】  お寺のよこ 佐藤

2020年09月14日 | お寺のよこ

コロナが流行る前の話しですが、近所のスーパーへ大正15年生まれのNさんと出掛けると、家を解体し更地になり雑草が生えているのを見て私から「宝くじが当たったらNさん、この土地を買ってここに一緒に住みましょうか」と声がけをすると
『お姉ちゃん、宝くじ買ったの?』「いや買い忘れたんです。」『何だよー、買ってないのかよー買ってないなら駄目だよー夢も希望もないじゃん。買っておいてよー。それからだよー』と仰り二人で大爆笑しながらスーパーに向かうことがありました。
昭和2年生まれのU さんは皆さんがそれぞれの居室へ行き独り居間で夜の時間を楽しまれている時に新聞を読みながら『銀座とかに美味しい物を食べに行きたいなー銀座をブラブラして鰻とかかなー』と「今、コロナっていう流行病でなかなか出掛けられないから落ち着いたら一緒に行きましょうね」と答えると『二人じゃなくて3人でな。誰に見られるか分からないから、貴女の知り合いでも良いし3人でな。何が良いかなー銀座かー』と紳士な発言をされ穏やかの表情で銀座の街並みを思い浮かべるような、ご様子がありました。
お二人が若い頃の銀座を古い映画とかテレビでしか観ることが出来ませんがハイカラな時代から令和の時代をお元気に過ごされ何気ない会話を楽しまれている姿を近くで支え、支えられていると実感し、1日のほんの数分、数十秒でも会話の時間を大切にしたいと思っています。

09:37 | Posted by kimisanchi

【自粛生活と言うもの】  お寺のよこ 岡田

2020年08月11日 | お寺のよこ

2020年は新型コロナウイルス感染が猛威を振るい、緊急事態宣言があってからは休日は外出を自粛され県外へ行く事はおろか近所に出掛ける事すら出来ずに仕事に関しても在宅勤務をしている人も多かった事もあったからか、上半期が終わるのが例年に比べると早く終わったような日々でした。
暫くして緊急事態宣言が解除され、完全ではありませんが日常は普段通りの生活に戻りつつあるも100人を越えようが超えまいが感染者は増えつつあります。と言うのも宣言が解除されてから羽目を外しているのが一番の原因だと考えています。あくまでも事態が終息した訳では無いので勘違いをして調子に乗っているからこのような事になっているので、もう少し状況や立場を考えながら生活しないと駄目だと感じています。
事態はまだまだ続いていますが、皆さんも軽はずみな行動はくれぐれもしない様に引き続き注意しながら生活しましょう。
んの魅力を探せるチャンスだなと思いました。

11:46 | Posted by kimisanchi

【醒めない】  お寺のよこ 光岡

2020年07月13日 | お寺のよこ

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新型コロナウイルスの感染状況が少しずつ落ち着いてきました。
まだまだ油断は出来ませんが、一時的に中止をしていた入居者さんとの買い物も6月から再開しています。
約3ヶ月ぶりの買い物ですので、入居者さんも以前どのような物を買っていたのか、どこに買い物に行くのか少し戸惑われているご様子もありましたが、少しずつ思い出されてくるのではないでしょうか。
現在お寺のよこでは8名の入居者さんがおられて、5名の方が90代です。皆さんとてもお元気に過ごされています。
お寺のよこでは7年前の2013年に5名の方がお亡くなりになることがありました。2013年~2014年に掛けて約半分以上の方が新たにご入居されて来ました。その時にご入居された方でお亡くなりになった方もいらっしゃいますが、お元気にお寺のよこで生活されておられる方も3名いらっしゃいます。
短期間で入居者さんの入れ替わりがありましたので、皆さんのそれぞれの特徴や性格、ご本人の思いをスタッフが把握することはとても大変でしたが、入居者さんのそれぞれの思いや願いを理解しどのようにすれば具現化していくことが出来るのか、スタッフ同士で一生懸命に考え具現化出来た時に、入居者さんが(もしくは入居者さん同士が)喜ばれている姿を見ると、とても嬉しくて毎日がお祭りのような夢のような日々でした。
その時にご入居された3名の方、その後ご入居されて来られた方、年月が経過しお年を召したなと感じる場面も増えてきました。出来ることや認識する力が少しずつ少なくなってきていることも感じます。しかし、その中でもはっきりとご自分の意思を仰ったり、他者を気遣われたり、スタッフにアドバイスをして下さったり、それこそ食事作りではまだまだ敵わなかったりと、思う存分に力を発揮されておられます。6年前と状況は変化したとしてもまだまだ醒めない夢のような日々です。そしてそのような日々を一緒に見続けてくれているスタッフにも感謝します。

10:38 | Posted by kimisanchi

【年齢を重ねて】  お寺のよこ 伊藤

2020年05月26日 | お寺のよこ

 私事ですが、つい先日誕生日を迎えました。50代後半になりました。
昔から母と話をしているとよく「私の歳になったらわかるわよ」と言われることがありました。若かった頃の私は「そんなものかな?」程度に考えていました。その言葉の意味の深さまで考えたことはなかったように思います。
 しかし、今、この歳になって母と話をする時に、あいかわらず母は「私の歳になったらわかるわよ」と言い、それを聞く私はつくづく「本当だな」「きっとそうなんだろうな」と思うようになったのです。
母が50代の時に私に話していたことはこういうことだったのだなと、この歳になってようやく理解できるようにもなったのです。
ただ、現在の母は80代、私自身が80歳を過ぎなければ、今の母の気持ちに共感、同感は出来ていないかもしれません。でも若かった頃の私ではなく今の私ならその話の内容を真剣に考え、その話が悩みや悲しい出来事であれば、どうしてあげることが母にとって一番良いのだろうと何時間も何日も考えて、母に話しかけたり行動に移したり出来るようになってきたように思っています。
「お寺のよこ」には、母と年齢的に近い方や少し離れている方もいらっしゃいますが、皆さんの話されている内容や気持ちが加齢による物忘れや認知症になられていらっしゃる方だとしても、私はその方と一緒に共感して、一緒に考えて、一緒に解決していくことが今、私に出来る支援の中のひとつであると思っています。
母の話の中にも、「お寺のよこ」のご入居者皆さんのお話の中にも人生の先輩として勉強させていただけることや、人間ひとりひとり違う人生を送ってきて、いろいろな悩みや問題を解決されてここまで生きてきたのだなと思うことがよくあります。人生の先輩のお話には深みがあり、悩んでいる私の助け船になり、生きていく上でのヒントや人との関わり方などたくさん教えていただいています。
十人十色と良く言いますが、皆さんの話はさまざまで楽しくもあり、悲しくもあり、その方の人生だったのだなと本当にそう感じています。私はまだまだ50代後半、これからも先輩方の話や助言を聞いて日々勉強です。

10:26 | Posted by kimisanchi

【信じる力】  お寺のよこ 倉澤

2020年05月06日 | お寺のよこ

「寝床につくときに翌朝起きることを楽しみにしている人は幸福だ」スイスの思想家カール・ヒルティの言葉です。明日目覚めることが出来たらそれだけで楽しい。それだけで十分。それだけで有難いと思えることは、どんなことにも可能性があると信じる力があるからではないでしょうか。先日居間のソファに座っていらしたTさんが、まついだの車が迎えに来るんだよ。と言いながら玄関の方へ向かいご自身の靴を履いて扉を開けようとしておられました。残念ながらお迎えの車が来ることはありませんでした。Tさんは日中に限らず夜間帯も2階の居室と居間を行ったり来たりされることもあり認識力の低下が顕著に見られるようになりました。ある日の午後、私に一生懸命やってるね。ここに座りなさい。こうやって目を瞑るといいよと教えてくれました。Tさんの言われた通りにソファに座り目を閉じると心が落ち着きました。
そうかぁ~Tさんはこのソファに座ることで(最近は横になられることが多くなりました。)一瞬でも安心感を得ることが出来るのかなと実感しました。そして、いつの日か生まれ故郷の松井
田町(群馬県)に帰ることが出来ると信じてお迎えの車を待っているTさんの思いを大切に過ごしたいと思いました。

10:24 | Posted by kimisanchi

【ありがとう、という言葉】  お寺のよこ 佐藤

2020年04月07日 | お寺のよこ

お寺のよこで働くようになり6年目になります。
入った時からいつも感じていた事ですが、入居者の皆さんはありがとうという言葉を良く使うのではないでしょうか。

Kさんは最近「オーライ」と言う言葉を多く口にします。居室で過ごすことが多く居間に聞こえるような大きい声でオーライと仰り、居室で暫く会話した後で「行かないで」や「サンキュー」と言って下さります。
Nさんは食器拭きを手伝って下さることが多く、台所で食器の片付けをしていると「お姉ちゃん、ありがとう」と手を振って下さり、Uさんはトイレ使用後や飲み物を提供すると「お手数をおかけします。ありがとう」とお辞儀をされ、Iさんは夕食後20時前後に居室へ行かれる際に「お姉さん、今日もありがとう。おやすみなさい」と笑顔で挨拶し、Kさんは服薬の際に小皿を用意し服薬後に必ず「ありがとうございました」と小皿を片付け、Sさんは起床から就寝まで何度も「ありがとっ」と仰られ、Tさんは自分がここに居ていいのか不安の中で過ごされ確認することが多いのですが、ふとした時に「ありがとう」と自然に口から出て来る事があります。Nさんは、朝、コーヒーを飲まれる事が多く、コーヒーを作り会話しながら飲んでいただくと「美味しい、ありがとう」と心をこめて言って下さります。
お寺のよこの入居者の皆さんから優しく伝わる『ありがとう』と言う言葉を大事に、大切な時間を入居者さんと過ごしたいと思っています。

15:23 | Posted by kimisanchi

【2020年東京オリンピックが来た】  お寺のよこ 岡田

2020年03月13日 | お寺のよこ

今年は東京オリンピックが56年ぶりに開催される年です。前回の大会は私はまだ生まれてないのは言うまでもない事なのですが、7年前に東京と決まった時はまさかと思いました。自分が生きているうちに東京でオリンピックが見られるなんて夢にも思わなかったので、どんな事が起きるのだろうと7年前から楽しみにしていました。
ただ、唯一気に掛かるのはマラソンのする場所が何故か札幌になったと言うのはどう言う訳なのか理解出来ませんでした。東京で開催されるの北海道なんていくら同じ日本でもおかしいだろと言いたい気分でもありますし、ミニ札幌オリンピックって感じです。
何はともあれ、今年は東京オリンピックがまたやって来る年なので、東京は大賑わいになるでしょう。興味のある人無い人でも盛り上がる事間違い無しでしょう。

14:59 | Posted by kimisanchi

【年の初めに】  お寺のよこ 光岡

2020年02月24日 | お寺のよこ

新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
今年の元日は夜勤明けで、新年の幕開けをお寺のよこで過ごすこととなりました。
午前0時を過ぎると近くのお寺から除夜の鐘の音が聞こえて来て、夜勤業務を行いながら、入居者さんや自分達スタッフにとって素敵な1年になれば良いなと感慨を新たにしておりました。
例年お寺のよこでは大晦日に入居者さんとスタッフがおせち料理を作って正月に備えています。普段の生活では皆さん起床される時間がバラバラなので、朝食を食べる時間も異なるのですが、元日は1年の始まりということもあり、皆さんが居間に揃ってから新年の挨拶を行い(僭越ながら私から挨拶をさせて頂きました)、皆さんでおせち料理を食べました(お身体の状態から居間に出て来られない方が1名いらっしゃったことは残念でした)。
思い返してみれば昨年末からクリスマス、大掃除、正月準備、餅つき、おせち料理の準備、年越し蕎麦等、入居者さんとスタッフが共同で師走から年明けに向けての準備やイベントを行って来ました。それらを通して旧年が過ぎ新年を迎えるという、入居者の皆さんにとってこれまでの生活の中で大切にされてきたことが、今年もまた当たり前のように(自分事のように)実感され、行われたのであればこれに勝る喜びはありません。
私は今年でお寺のよこに入職して15年となります。入居者の皆さんと一緒におせち料理を食べながら、ようやく自分も末席ながらお寺のよこの一員として認められたような気持ちとなりました。入居者の皆さんにとって清々しい正月になれば良いなと願い帰途につきました。
冒頭にも書きましたが、今年が皆さんにとって良き1年となりますように。私も皆さんとともに歩みながら素敵だなと思える瞬間と沢山出会えるような1年にしたいと思っています。

09:10 | Posted by kimisanchi