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編集後記  林田

2018年01月31日 | 編集後記

平成30年度の報酬改定が概ね決定しました。
認知症対応型共同生活介護の報酬改定は、基本分が据え置き、そのほかは加算の項目が増えた。と言う状況です。
財政がひっ迫する中、加算の項目が、事業所として要望してきたことも含まれていたことを考えると、厚生労働省も、介護事業者・従事者のことをしっかりと考えてくれているとは感じました。
しかし、2点、気になることがあります。
1点目は、介護報酬が最低賃金と連動していないことです。東京近郊では、最低賃金の上昇が進んでいます。
20年前と比べると、100円以上上がったと思います。介護職員のなり手が少ない要因の一つは賃金の安さです。
せめて、介護報酬も最低賃金と連動させるべきだと思います。
2点目は、いまだに仕事の質に関してなかなかその評価が得られないことです。これは、事業者にも責任があるのですが、介護、特に認知症状態にある方を支える職員のケアの質を評価した介護報酬とはなっていません。今後は、そこにフォーカスされるような提言を国に行っていきたいと思っています。
次の改定まで、時間があるようでありません。現在、次の改定の準備に入っています。ぜひ、ご協力をお願いします。(林田)

08:58 | Posted by kimisanchi

【ぶどう狩り】  きみさんち 金井

2018年01月31日 | きみさんち

きみさんち恒例のバス旅行、昨年も秩父にぶどう狩りに行きました。
決まってから毎日のようにぶどう狩りはいつだっけ?と聞いてくるAさん、台風が続いてお天気を気にされ、てるてる坊主を作ったBさん。皆さん、毎日その日を指折り数えて待っていました。
当日は、いつもより少しおしゃれをして、皆さんでバスに乗り込み、いざ出発。てるてる坊主のご利益で、天気は快晴日本晴れ、若干風は強かったのですが寒くもなく絶好の旅行日和となりました。
途中、道の駅で、名物の蕎麦や味噌ポテトを食べ、ぶどう園に到着。
ファイル 356-1.jpg
午後の光を浴びて、きらきら垂れ下がるぶどうたちに、皆さんの目もきらきらしています。
中でも初めて参加したBさんは、色んな種類のぶどうが用意してあるコーナーでトレーから山盛り取り分け、「美味しい美味しい」と満面の笑顔で次々に頬ばっていきます。さっきお蕎麦を食べて、お腹いっぱいって言ってたよね、大丈夫なの?とこちらが心配になるほどの健啖ぶりでした。最後は一番多いのを選ぶと張り切り、高枝切りバサミを使って枝から美味しそうなぶどうを切り取って、それも全部食べ切られていました。
ファイル 356-2.jpgファイル 356-3.jpg
帰りのバスもうたたねひとつせず、元気にお話しされて無事にきみさんちに帰宅しました。
日常ではなかなか味わえない、皆でいっしょの体験。
すてきな日に一緒にいられて、私も幸せな一日でした。

08:56 | Posted by kimisanchi

【念願の熱海宿泊旅行】  お寺のよこ 伊藤

2018年01月31日 | お寺のよこ

「お寺のよこ」では3年前から4年連続で宿泊旅行に出かけています。箱根や中川温泉に続き、昨年は皆さん念願の熱海旅行に出かけました。出かける数日前までは台風や大雨の天候が続きましたが、旅行当日は絶好の行楽日和、秋晴れのなか出発できました。
マイクロバスに乗り、どこまでも続く海岸線を見ながらのドライブ。途中でサービスエリアにも立ち寄り、ソフトクリームやプリンを食べました。ホテルに到着すると楽しいことが目白押しです。大浴場に入ったり、カラオケをしたり。
食事は和洋折衷のコース料理です。ホテルのスタッフの方々にも本当に良くしていただき、皆さん好きなものを好きなように召し上がっていました。
大浴場は床が畳敷きになっていて滑りにくくてよかったです。皆さん普段入らない大きなお風呂でゆったりと湯船に浸かっていらっしゃいました。カラオケも皆さん手拍子したり、一緒に歌ったりと賑やかな時間になりました。
また、宿泊と言う外出は、いつもとは違った環境だからか、皆さんの新たな一面を見る事ができました。助けが必要かと思う人がいるとそっと手を貸してあげていたり、声をかけていたり。普段関わらない方との交流も見jられました。
宿泊旅行は、スタッフにとっては緊張が伴います。今回、旅行担当になり、多々の条件を満たす宿を探すところから始まりました。事前に、自分の母親を連れて宿にも行ってみました。大浴場や部屋や食堂の様子を確認し、スタッフの方とも綿密に相談させていただきました。ホテル側の配慮で、大浴場に介助者が服を着たままでついていくことを理解して頂き、食事を刻み食にしてもらうことなどの対応、本当に助かりました。帰る日の朝食の後、従業員の方から「また来てくださいね」「待ってますからね」と言っていただき、Tさんは涙を流してその方と握手をして別れました。
スタッフ皆で頑張った甲斐があり、皆さん大いに楽しまれた様子でした。帰ってから暫くの間「熱海行ったね」「楽しかった」と仰っている方を見ると、本当に行って良かったと思います。
宿泊旅行はスタッフの皆の協力があってこその成功だと思います。皆さんお疲れ様でした。
でも、入居者さんたちのあの笑顔が見られるのなら良かったですね。また頑張れますね。
今回はSさんが体調を崩され入院のため、旅行に参加できなかったことが残念でしたが、次回は必ず、皆さん揃って皆さんの希望の場所へ、宿泊旅行に出かけたいと思っています。

08:55 | Posted by kimisanchi

【ほんと早いですね】  のんびり家3F 新宮

2018年01月31日 | のんびり家::のんびり家 3F

月日の流れは、ほんと早いですね。
入居者さんとクリスマスのシールを張ったり、写真を撮ったりして過ごしていたことが、ついこの間のようです。
11月30日に、男性の方が入居されました。Iさんは笑顔が柔らかく、すてきな方です。入居して間もなく、昼食を食べようと台所に行かれたのですが、ご飯が炊けてないことに腹を立て、「買って来て食べるからいい」とそのまま出かけられました。引っ越してこられて間もないことや、歩行の様子。そもそもお財布を持っておられないことから、Iさんと一緒に出掛け、買い物や外食に誘いましたが、「飯が炊けてないなんて話になんねえ」「俺一人でなんとかするから、もうついてこなくていいよ」と足早に去っていかれました。その後は、やや遠方から見守りをすることにしました。そして、ある場所に差し掛かると、そこは以前お寺のよこで勤務していた時に、今回と同じように出られた入居者さんを見失ってしまった場所でした。ホームに戻る気はなく先を急がれている入居者さんは、今何を思いながら歩かれているのだろう、私は今その方にどんな支援をするべきなのだろうか、などと考えながら見守りしていました。ですが、その時とは何かちょっと違うなと感じました。年を取ったというのもありますし、昨今では、地域の方の認知症の症状のある方への理解が広まったのもあるかもしれません。実際道を尋ねられたとき、優しく接してくださる方が殆どでした。これからも引き続きじっくり考えて行きたいと思います。

08:55 | Posted by kimisanchi

1月号の「のんびり家2F」の記事はありません

2018年01月31日 | のんびり家::のんびり家 2F

1月号の「のんびり家2F」の記事はありません

08:54 | Posted by kimisanchi

編集後記  林田

2017年12月31日 | 編集後記

先日、同業の経営者たちと集まりを持ちました。
日ごろは、遊び仲間として集まることが多いのですが、今回は、年明けと言うこともあり真剣に話し合いました。
その検討課題は、どうやって、後進を育てるか。
どうやって世の中に、認知症対応型共同生活介護での仕事が魅力的で面白いかを伝えられるか、でした。そこに集まった仲間は、認知症状態にある方々を真剣に10年以上支えてきた仲間なのです。これまでは、自分の会社の運営に追われていましたが、そろそろ、社会の中に私たちが培ってきたことを受け止められる人たちを育てなければ。と考えだしたのです。
その為にはこの仕事の魅力を、同じ仕事をしている人たち、そして世の中に伝えていかなければなりません。
1つ目の課題については、とにかくこれまでの認知症状態にある方への支援と、生活の支え方をじっくり伝えなければという話になり、各会社の職員さんを集め、会社負担で宿泊研修など密度の高い研修を行おうということで話しが進んでいます。単純に、認知症ケアとか介護技術とかではなく、これまでの歴史や精神、考えなども含め伝えたいよね。と話しています。
もう1つの課題は、世間に向かって10年後の認知症対応型共同生活介護の在り方をイメージして伝えられるようにしたいという話になりました。
こちらは、まだまだ細かい検討課題が多いのですが、映画を作る。や、AIを取り入れるためにその研究をしている人たちとコラボしよう。というようなことをやりたいよね。と話しています。
どこまでできるか、こちらはハードルが高いですが。10年なんてあっという間です。今はじめないと、認知症になったら、ロボットに抑制されるような介護を受け、ぼんやりと殺されるような生活にさせられてしまう可能性も大です。
この10年、大切にしたいと思っています。

08:21 | Posted by kimisanchi

【生活のかがやき】  きみさんち 志寒

2017年12月31日 | きみさんち

ファイル 348-1.jpgファイル 348-2.jpg

「あたし、おかしくなっちゃって、何がなんだかわからなくなっちゃったの」そう言って落ち込まれていたA さん。夕方になるとこのセリフを口にすることが多いようです。
Aさんは夕食作りをしている他の入居者さんの調理をなんとなく眺めていましたが、ふと思い立ったのか「私も何か手伝おうか?」と。
盛り付けをし始めると表情は一変。炒め物の量は均等に、全ての具が満遍なくいきわたるよう、しかも、彩りよくなるように具の配置まで考慮して、集中して作業しています。
「できたわー!さぁ食べよう」と、先ほどまでの落ち込みは消えてしまいました。
もしかしたら、子どもたちがけんかにならぬよう、平等におかずを盛り付けていたころを思い出したのかもしれません。
役割を持って、他人の役に立つことで自信を取り戻したのかもしれませんし、ただ単純に気がまぎれただけなのかもしれませんですが、みなのために料理を盛り付けるという、たったそれだけのことが、心の平安と生きる力を引き出したように思えるのです。
私は、入居者さんたちが料理をしたり、洗濯物をたたんだり、スーパーで値札をじっと見ている瞬間が大好きです。美しいとまで感じます。
当たり前の生活を営む。共に生きる。
そのことが、苦しみを癒し、生きる力を与えてくれるのでしょう。
生活の価値、日々の尊さを、皆さんに教わっています。

08:15 | Posted by kimisanchi

【思い出】  のんびり家 松山

2017年12月31日 | のんびり家::のんびり家 3F

こんにちは。夜勤パートの松山です。
のんびり家での仕事を始めて、早9ケ月です。
ここで入居者Hさんとのエピソードをひとつご紹介させて下さい。
いつも汚いジーンズの私が珍しく真っ赤なスカートで出勤したときの出来事です。
私のスカートを見て、スタッフの新宮さんが「Hさん、赤いスカートはいてみたいですか?」と声をお掛けしたところ、なんとこっくりと頷かれたんです。
「はいてみたいの!?」と突然のことにちょっとびっくりしてしまいましたが、せっかくですので早速、仕事着に履き替えて、Hさんに真っ赤なスカートをはいていただきました。もちろん記念写真もばっちりです。Hさん喜んでくれたかな。

08:14 | Posted by kimisanchi

【Nさんと東京タワー】  お寺のよこ 岡田

2017年12月31日 | お寺のよこ

5月にNさんと誕生日の外出企画として東京タワーに行きました。東京タワーは一昨年にも以前ケア担当をしていたKさんと行ったのですが、Nさんも行きたいと言うので東京タワーに決めました。理由は以外にも一度も行った事が無いからでした。
春と言う事もあり暖かい気候でしたが、当日は気温がやや高くどちらかと言うと暑いと言う感じでしたがNさんはしんどい様子も見せず楽しんでいました。
到着してまず始めに昼食を食べ、その後に展望台に行きました。快晴だったので景色も良く見えてNさんも喜んでいました。途中Nさんがアイスを食べたいと言うので、展望台にある店でソフトクリームを食べました。2階展望台に移動し、そこにあるルックダウンウインドウを見て怖くてさすがに見れないとの事でした。
その次に水族館に行きました。見た事が無い珍しい魚が多数いたのでNさんも驚いていました。東京タワー内に水族館があった事に対しても驚いていました。
その他に東京タワーの歴史に関しての展示コーナーを見に行ったり、喫茶店にコーヒーを飲んで、最後に皆へのおみやげを買いに行きました。
本当に楽しかったみたいで「東京タワーありがとう」と何度もお礼を言っていました。

08:13 | Posted by kimisanchi

12月号の「のんびり家2F」の記事はありません

2017年12月31日 | のんびり家::のんびり家 2F

12月号の「のんびり家2F」の記事はありません

08:10 | Posted by kimisanchi

編集後記 林田

2017年11月30日 | 編集後記

私は観ていませんが、ある医者のドラマで「私、失敗しませんから」と言う決め台詞を言うものがあったと思います。
私たちの仕事、「認知症状態にある方々の生きる力を知り、それを使って豊かに生活できるように支援する。」と言うことは、失敗することの連続です。
思い込みや知らないこと、気づいていないことに足を取られ、想定と違う解決が待ち受けます。
先日、ある入居者さんの所在をつかむことができずに、職員たちと大慌てをしたことがありました。この寒い季節ですし、何かあったら大変だと正直焦りました。
これまでもそのようなことはたくさん起こったのですが、今回は全然違う解決でした。なんと、その方がご自分で公衆電話から事業所に電話をしてくれたのです。
「あー、知らないとは、何とも無駄なことが多くなることか。」と安堵する気持ちを味わいながらもそう思いました。
自分の力で解決できたことは本当に素晴らしいですし、有する能力を発揮し自己決定の結果、職員(私も含め)を振り回すことができること自体が、その方の生きる姿として素晴らしいのですが、私たちは、いつも自らの力の無さを痛感させられます。
「私たち、失敗を必ず活かしますから。」今かろうじて言える言葉としたら、このような表現かな。と思っています。しかし、いつでも自分たちは知らないことに向かい合い、知ることができた時のワクワクとした気持ちでいることとと、知らないということを知っている強さが、この仕事の根底にあるのだと考えています。(林田)

17:06 | Posted by kimisanchi

【口の運動はご飯を美味しくしてくれます?!】  きみさんち 田中

2017年11月30日 | きみさんち

家の祖母は現在デイケアに通所しています。
ある日帰ってくるなりこれ読めるか?と紙切れを1枚私に手渡してきました。
何がかかれているのか見るとこんなことがかかれていました。
東京特許許可局局長(とうきょうとっきょきょかきょくきょくちょう)
青巻紙赤巻紙黄巻紙(あおまきがみあかまきがみきまきがみ)
バスガス爆発(ばすがすばくはつ)
坊主が屏風に上手に坊主の絵を書いた(ぼうずがびょうぶにじょうずにぼうずのえをかいた)
これは何に?と祖母に尋ねたところ、「歯医者さんが口を大きく動かすとあごの運動になるから大きな声を出して読むとご飯が美味しく食べられるんだって」と教えてくれました。
口を大きく開けたり閉じたりすることで顔の筋肉を使い、咀嚼運動が円滑に行えるようになるとの事です。
腕や足の筋肉はトレーニングによって鍛えることは出来るけれど顔の筋肉はなかなかトレーニングできないよねーとつぶやくと、「毎日笑ってりゃいいんだよ」と言いながら笑っている祖母が隣に居るのでした。
皆さんは顔の筋肉鍛えていますか?私は顎関節症(あごがはずれる)になったことがあり、痛くてご飯が食べられないという事がありました。この時も、頬の筋肉を鍛えなさいと医者に言われたことをこの時思い出し、一緒になって今早口言葉をしゃべっています。(遅口言葉かな?)

17:00 | Posted by kimisanchi

11月号の「のんびり家2F」の記事はありません

2017年11月30日 | のんびり家::のんびり家 2F

11月号の「のんびり家2F」の記事はありません

16:59 | Posted by kimisanchi

【ありがとう、そしてお疲れ様でした】  のんびり家3F 吉田

2017年11月30日 | のんびり家::のんびり家 3F

のんびり家にご入居されてまる12年、8月から13年目に入られた入居者さんが亡くなられました。
7月に入ってから時折り嘔吐されるようになり、医師に相談した後に検査をうけたところ、ステージⅣの胃がんという診断でした。
6月までは変わった様子もなくお元気で過ごされていて家事もご自身でこなされていたので、突然の診断に呆然としたことを覚えています。
診断後は必要な情報を集め、ケアプランを作り、毎日を大事に支援してきました。
そしてある日の出勤時、朝の薬が残っていたため「〇〇さんはまだ起きてないんですね、珍しい」と先に出勤していた職員に訊ねたところ、現実を知りました。
わたしが関わったのは12年のなかの3年間だけですが、たくさんの思い出があります。
鴨川シーワールドへの宿泊旅行、誕生日のお祝いに池袋のレストランで食事をし豊島園へイルミネーションを見に行ったこと、なかでも故郷の種子島への宿泊旅行は一番の思い出です。
ファイル 344-1.jpegファイル 344-2.jpeg
実は亡くなった当日は千葉のバラ園への日帰り旅行を予定している日でした。
数日前に、熱発されて体調を崩していたことから予定は中止にしていましたが、花を見に行きたいと話していました。
この方にはご家族といえるような方がいらっしゃいません。
ただ、以前から連絡をいただいていた義理のお姉さんから「何かあったときはお兄さんのお墓に一緒に入ります」とお話をいただいていたので、様々な方面と連絡を取り、今はお兄さんと一緒にいらっしゃいます。多分たくさんのお花にも囲まれていることと思います。
毎朝早くからみんなのご飯を気にして炊飯し、食事中も職員などの食事を気にされ、時折り女性職員には男性職員が誰も聞いたことのない昔話をされ、買い物に行くとついつい大好きなポテトサラダや雪印のコーヒーに手を伸ばしてしまう。
種子島旅行からの一年間では、わたしの顔を見て突然「あっ種子島、ははは」と言うようなことが数回ありました。
たった3年間だけでもこのページだけでは書ききれないほどです。
のんびり家の職員の中には5年以上一緒に過ごした職員もいますし、10年以上関わってきた職員もいます。
わたしの3年間はそういった方たちの期間と比べたらすごく短いかもしれません、本当なら5年、10年と関わって行きたかった。
それでもこの3年間に本当に感謝しています。ありがとうございました。
そして82年間お疲れ様でした。

16:58 | Posted by kimisanchi

【君の名は】  お寺のよこ 光岡

2017年11月30日 | お寺のよこ

お寺のよこで勤務を始めてから、かれこれ10数年の年月が経ちますが、入居者の方から名前で呼ばれるという経験は殆どありませんでした。「光岡(みつおか)」という覚え辛い苗字であることも一因としてあるかとは思いますが、大抵は「お兄ちゃん」「お兄さん」と呼ばれることが多く、「先生」と呼ばれることもありました。
でも、ここ数年で、苗字や役職名で呼ばれる機会が増えてきました。「光岡さん」と呼ばれることもあれば、光岡をもじったニックネームのようなもので呼ばれたり、「施設長」と呼ばれることもあります。「お兄ちゃん」と呼ばれることも親近感が感じられて嬉しいのですが、苗字やニックネーム、役職名で呼ばれると、一人の人間として区別、認識をされているようで、嬉しく感じています。
勿論、名前で呼ばれることだけが全てではなく、入居者の方なりの表現で、自分という人間を他者と区別して対応をされているケースがあることも承知しています。それでも敢えて名前(もしくは他者とは明らかに違う名称)で呼ばれることの喜びとは、自分という存在を、確実に認識してくれていることが実感されるからでしょうか。
入居者さん同士のご様子を拝見していると、始めは互いの名前を中々覚えられないご様子でも、次第に仲が良くなるにつけ、もしくは関係性が出来ていくにつれ、相手の名前を憶えていかれることがあります。普段は名前で呼ぶことが殆ど無い場合でも、遠くにいる相手に声を掛ける際に「○○さ~ん」と呼んだり、スタッフが下の名前で呼んでいる入居者さんに対して、そのことを憶えているのか、下の名前で呼んでみたり、入居者さん同士で洗濯物を畳んでいる際に、洗濯物に書かれてある名前を見て「これ、あんたのだよ」と渡したり・・・。そういった光景は、何気ない日常風景なのかもしれませんが、認知症状態にある方たちが、時間を掛けて獲得してきた他者との関係性(いわゆる馴染みの関係)を垣間見せてくれているようで、とても嬉しく感じます。ひょっとしたら、そういった関係性を互いに構築していくことにより、自分を奮い立たせて「お寺のよこ」で生活をされているという側面もあるのかもしれません。
男性入居者のKさんは、「お寺のよこ」開設当初からいらっしゃる主(ぬし)的存在です。そのKさんは、ここ数年これまでになかったかのような「モテ期」に突入されています。入居者の方から「Kさん」「Kさん有難う」と名前で呼ばれ、頼りにされることにより、これまで見られなかったような姿(自発的に、他の入居者さんが拭き終えた食器を、食器棚に片付ける、花札等のゲームに他の入居者を誘う等)が見られ、心なしか笑顔も増えているような。スタッフの声掛けや対応だけではこうはいきません。ともに生活をしている入居者さん同士の横の繋がりがあってこその変化ではないかと思っています。
それはKさんのみならず、他の入居者さんも同様のようです。スタッフも少しでもその仲間に入れてもらえたら嬉しいです。皆様、今後とも宜しくお願い致します。

16:57 | Posted by kimisanchi