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【Ⅰ、m sorry 髭sorry・・・・・】  のんびり家2F 石井

2017年03月31日 | のんびり家::のんびり家 2F

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 2017年の1月中旬にのんびり家にTさんが新たに入居されました。最初はかなり緊張の面持ちでしたが、それは職員も同様かもしれません。
Tさんはとてもユニークな方でとにかくお話し上手で、一旦勢いがつくと止まる気配がありません。次から次へとリズミカルな話口調で、ニコニコとされながら様々な会話でもリードします。冗談もかなりのペースで会話に織り交ぜてきます。その軽妙なやりとりは聞き入ってしまうほどです。そして冗談交じりにTさんが「アイム、ソーリー。」と軽快に英語での返答がありました。度々、聞いているうちに私は何か上手く返せないものかと思案しました。そこで、脳裏に浮かんだつまらない言葉でしたがTさんの調子に合わせるように「髭、ソーリー。」と続けてみました。Tさんは一瞬時が止まったようでしたが、すぐに表情を和らげ「何言ってんのよ。」と笑いながら、私のお尻を軽く叩きました。その後ものんびり家内では時折Tさんの軽妙なトークやジョークが会話の中にちりばめられています。

 まだまだ、のんびり家での生活には慣れておらず徐々に信頼関係を築いていくのだろうと感じていますが、時には「同じ阿保なら踊らにゃ・・・・。」という言葉もあるように何も考えずに時間を過ごしてみるのも良いものではないだろうかと考えながら少しにこやかにこの原稿を書いた夜勤の勤務でした。

16:20 | Posted by kimisanchi

【Kさんの独り言】  きみさんち 田中

2017年03月31日 | きみさんち

ある日、日勤の為玄関をくぐると居間で神妙な面持ちで新聞を読んでいるKさんが居た。あまりに真剣だったもので、挨拶もせずスタッフルームに入ったが何やらブツブツと独り言を言いながら1面記事を見ている。
Kさん   「まったくねー」
田中    「?」
Kさん   「ほんとに何やってんだか」
田中    「??」
Kさん   「遊んでばかりいないで仕事しなよねー」
田中    「誰の事言っているの?」
Kさん   「ほら。大統領がトランプだってさ」
      「全くバカにすんのもいい加減にしろよだね」
田中    「・・・・・」「それ人の名前だよ」
Kさん   「えーっ・・・・・・・」

人の名前とはつゆ知らず、遊び道具のトランプとかんちがいをしていたKさん。
発想としては間違っていないのだが、なんとも愉快な答え。
そんなKさんと過ごす毎日が楽しくてしょうがないきみさんちで、今年もどんな楽しい発言が聞かれるのか楽しみにしつつ、気を引き締めがんばろうと思います。

追伸:大統領だって人の子。仕事終えたら遊ぶかもしれないよ!とKさんに言ったところ、
  「人の名前にトランプなんてつけるのはおかしいよ」と仰っておりました。

16:20 | Posted by kimisanchi

【電車に乗って】  のんびり家3F 永辻

2017年03月31日 | のんびり家::のんびり家 3F

少し前にHさんと後楽園に買い物に出掛けました。
最近洋服を買っていない話しをしたので、一緒に買いに行きました。
お店に着くと商品がたくさんあり、何を買うかは具体的には決めていなかったので、ゆっくりと店内を見て回り商品を選びました。
Hさんが購入したのはご自身で色や柄を選んだ、赤のチェックのシャツと薄いピンクのカーディガンです。久しぶりに洋服を買って、嬉しそうな表情も見られて良かったです。
この日は風も強く、東京ドームでコンサートもあったようでたくさんの人が居て、人混みの中を歩いて疲れてしまったようですが、帰りにご飯をしっかりと食べて、寒さにも風にも負けずに帰りました。Hさん買った洋服を着て、また買い物に行きましょう。

16:19 | Posted by kimisanchi

【心と身体】  お寺のよこ 伊藤

2017年03月31日 | お寺のよこ

人は耳で音楽を聴き、心で懐かしさを感じたり、悲しみを思い出して涙したりします。
目で食べ物を見て、美味しそうだなと思い、口で食べ、舌で味わい満足します。
いつも心と頭と身体を連動させているのかなと思います。
日々「お寺のよこ」にいる私はどこか心の弱いところがあるようです。仕事中でもつらくなってしまう時があります。そうすると何故か心の弱さが身体に出て、嘔吐したり咳き込んだり涙を流したりしてしまいます。
私は時々、気持ちが沈んでいる時に入居者のKさんのそばに行きます。Kさんはほとんどお話をされることがなく、ご自分で歩くことがままならない方ですが、私はKさんの手を握らせてもらいます。そうしているとKさんも私の手をそっと握ってくださいます。そしてすごく綺麗な目で私を見つめてくれます。私は「頑張り過ぎなくていいんだ」と思い、肩の力が抜けていきます。
別の日には、少し目に涙を溜めてしまい下を向いている私に、Nさんが私の顔を覗き込んで優しい笑顔を見せてくれました。特に何か言葉をかけていただいた訳ではないのですが、するとどうでしょう、心がスーッと柔らかくなり「あ、大丈夫なんだ」と感じました。
私は支援する立場でありながら、「お寺のよこ」で入居者の皆さんに支えていただきながら日々を頑張っていけているのです。
心があって身体がある。人と人とのふれあいの中でいたわりや優しさを感じ、もう何も出来ないと動けなくなっていた身体がまた力を取り戻して頑張れたりします。
私も入居者の皆さんの心に寄り添い、その方の気持ちを和らげたり、頑張れる力を出していただけるように恩返しをしながらこれからも「お寺のよこ」で頑張っていきたいと思っています。

16:18 | Posted by kimisanchi

編集後記

2017年02月28日 | 編集後記

先日、時間があったので録画していたドラマを観ました。そのドラマは、トヨタ自動車をモデルとしたもので、自動車製造に心血を注いだ会社の社長と従業員たちの戦いの話でした。
いろいろ共感できるところが多かったのですが、大きく二つの点でとても共感できました。
一つは、自動車を作り上げていくときの技術力です。日本はよく発想はできないが地道な努力と改善を重ねて、気が付くと世界最高の工業製品を作る。と言われます。
自動車も本当に気が遠くなるような努力で作り上げて北のだということがわかりました。実は、これは、農作物でも家電製品でも同じだと思います。そして、私たちの認知症状態にある方々の生活を支える技術も同様だと思っています。
毎日毎日、地道な努力と新たな発見を繰り返して、入居者さんにグループホームでの生活を続けていただけるかを追及する日々なのです。
次は、規制によって事業自体の継続が困難になっていくシーンでした。
国の規制で乗用車ではなくトラックを作ることを強要されたり、自動車を作ること自体が許可制となったり、今の時代より強烈で暴力的な規制がなされています。
ただ、現在でも、私たちの事業に対し「規制」と言うのは脈々と続いており、介護保険と同時に様々な規制が始まりました。介護保険前から事業をしていた私としては息苦しいこと、この上ありませんし、ケアマネージャーの必須配置や利用者さんを原則区内の方しか受け入れられなくなったことなど、事業運営に大きく影響をすることもたくさんありました。
私たちは、国民の税金と保険料で事業運営をしていますので、規制は止むを得ない部分もありますが、規制が事業の大きな部分にかけられるのなら、その事業は実態と合ったものにしていかなければならないと思います。
その最たるものが介護報酬の設計です。最低賃金が上がるのならば、介護報酬などもそれに合わせてスライドするような制度設計や、都市部と地方の最低賃金の差を介護報酬にも取り入れていくことです。
このままいくと、最低賃金を割ってしまうような介護報酬しか介護職はもらえなくなると思います。
日々、地道に技術を磨き入居者さんの生活や命を守ることをしている職員に対し、適正な介護報酬が出るように、動いていただくことを強く望みます。ご家族や地域の方々にどうぞご理解をいただきたいと思います。(林田)

08:52 | Posted by kimisanchi

【豆苗の想い】  きみさんち 志寒

2017年02月28日 | きみさんち

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皆さんは豆苗(とうみょう)という野菜をご存知ですか?
エンドウ豆の若苗のことで、びっしりと四角形に苗床を整えたエンドウ豆から、みずみずしい茎と小さな若葉が伸びています。青臭さはわずかにあるものの、シャキシャキした歯ごたえと炒め物からサラダまで幅広く使える便利さで入居者の皆さんにも人気です。
ただ、入居者さんの人気の秘密は食べたあとのこと。苗を刈り取って残った根元を皿に入れ水に浸しておくと、また新しい苗が育つのです。その成長の様子を見て「かわいいねぇ、よく育ったねぇ」と柔らかなまなざしで眺めては楽しんでおられます。一度は伸びた豆苗を食べようと相談していたら、それはかわいそうだと庭に植えられ、エンドウマメが育ったことがありました。
もちろん、豆苗に限らず、皆さん、園芸や植物はお好きですが、とりわけこの豆苗が人気なのは、目に見えて成長していくところがわかることかなと感じます。
成長する、育つ。育っていくものへの喜びというのは大げさに言えば“未来”を期待することへの喜びなのではないでしょうか。
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“育つ”と言えば、私は管理者として、スタッフをどのように育成しているのかと質問されることが多々あります。私にとっては悩ましい質問の一つです。なぜかといえば、私は特段、意識して育てている感覚はないし、実感で言えば、『多少なりとも目や手や気をかけているうちにいつの間にか育っている』といえば近いでしょうか。ですので、育成法と言われても、改めて語る言葉も持ち合わせていないのです。
ただ、共に仕事をしていく中で、何か成長を望んでいることは確かで、そこにはともに伸び合う未来への期待、それも、単に業務のことだけではなく、認知症状態にある人への支援を通して築いていく、未来の社会への期待があるのではないかなと思います。
そしてそんな私たちを育てているのは、だれあろう、まさしく入居者さんたちで、常にどこか私たちに、豆苗に注いでいるのと同じ、柔らかな、でも切実で期待に満ちたまなざしを注いでいるのを感じるのです。
一年が終わろうとしています。今年もいろいろな出来事がありました。悲観的な私という人間は困ったもので、ついつい、未来への不安を感じてしまうような出来事ばかりを思い返してしまいます。ですが、育ちゆくことへの喜び、未来への期待を忘れずに、新しい年を迎えたいなと思います。

08:44 | Posted by kimisanchi

【日帰り旅行に行ってきました】  のんびり家2F  飛鳥井

2017年02月28日 | のんびり家::のんびり家 2F

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みなさん、こんにちは。のんびり家2階の飛鳥井です。
今回は、のんびり家の日帰り旅行について書かせて頂きます。
去る12月9日、のんびり家2階は日帰り旅行に行ってきました。行先は、お台場です。当日は、福祉車両2台に分乗し、高速道路は使用せずにお台場へと向かいました。のんびり家を出発してからおよそ1時間後、お台場に到着しました。14時に、アクアシティのビュッフェレストランを予約してあったのですが、駐車場に車を入れようとしたところ、高さ制限のバーに引っかかってしまい、車を入れることが出来ませんでした。予想外の出来事ではありましたが、気を取り直し、駐車場を探して、海沿いの駐車場に停めることが出来ました。
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その後、レストランへ。ビュッフェ形式なので、銘々がそれぞれ好きな物を取りに行き、食事が始まりました。日頃、のんびり家で食べる内容とは違い、目先の変わった料理が多く、皆さんいつも以上に食が進んでいたようです。特に時間制限はないとのことでしたが、お腹も一杯になり、外の景色も夕景から夜景に移り変わってきましたので、全員集合して、夜景をバックに記念写真を撮影しました。帰路は、途中で渋滞があり、少し時間がかかり、予定よりも遅い帰宅となりましたが、無事帰宅出来てほっとしました。今回の旅行は、入居者の方2名の入退院などもあり、企画もぎりぎりになってからでしたので、日帰りとなってしまいました
が、実施出来たことは良かったと思います。次年度は、早い段階で企画を立て、宿泊旅行が実施出来るようにして行きたいと思います。

引き続き、Sさんについて書かせて頂きます。

08:43 | Posted by kimisanchi

【Sさんとの思い出】 のんびり家2F  飛鳥井

2017年02月28日 | のんびり家::のんびり家 2F

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Sさんは、昨年12月30日の午後、のんびり家でご逝去されました。享年80歳でした。Sさんは、誤嚥性肺炎で2回目の入院をされていましたが、29日に退院されて、のんびり家に帰宅されたばかりでした。入院前より更に体重が減り、水分や食事摂取もままならない状態でしたが、医師からは「現状では、年を越すことは難しいかも知れない。ご本人の望むように」とのことで、私達職員は見守ることしか出来ませんでした。午前中から午後にかけて、Sさんに「少しでも、何か飲んでみませんか」と勧めてみましたが、首を振り、「いらない」とのことでしたので、私も無理には勧めませんでした。
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14:30頃、林田代表が様子を見にいらっしゃり、Sさんのご様子をお話ししたところ、ゼリー飲料を勧めてみようと言うことになりました。林田代表がSさんに話しかけ、上体を起こして、ゼリー飲料を勧めました。飲み始めは少し咽こみましたが、その後少しずつ時間を掛けて、1袋飲み切ることが出来ました。Sさんは、「ごくっ、ごくっ」と音が聞こえるくらい、しっかりと嚥下が出来ていましたので、同席していた私も少し安心しました。その後、少しだけ椅子に座位になって頂き、再度布団に横になって休んで頂きました。それから約1時間後、直前まで手を動かしたり、掛け布団を跳ね除けたりしていたのですが、私が掛け布団を直そうとお部屋に伺うと、Sさんは既に旅立たれていました。
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Sさんは、ご兄弟が近くにお住まいではありますが、ご自身は独身を貫かれ、温かい家庭に憧れていたとお聞きしました。のんびり家では、寂しさの表れなのか、他の入居者や職員に、少し過剰に接することもありましたが、その一方で、他の入居者のお世話をしたり、職員に労いの言葉をかけて下さる等、優しい方でした。Sさんの最期の迎え方は、「誰にも迷惑を掛けたくない」と言うSさんの意思の表れのようでもあり、Sさんらしい引き際であったと思います。体調が万全ではないながらも、日帰り旅行に一緒に行けたこと、最期はのんびり家で迎えられたことは、良かったと思います。Sさんは「そんなこと、知らないわよ」と仰るかも知れませんが。最後になりましたが、Sさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

08:42 | Posted by kimisanchi

【早いですねっ】  のんびり家3F 新宮

2017年02月28日 | のんびり家::のんびり家 3F

あっという間に新年を迎えました。
早いですねっ。
12月に新しい入居者、Nさんがのんびり家に仲間入りされましたよ。
好き嫌いのはっきりされた、芯の強さを感じさせる素敵な91歳の女性です。
カメラを向けますと、ちょっとはにかんだ表情をされ、なにか惹きつけられるものがあります。
昼と夜の区別を見失い、夜中に元気はつらつ「おはよう」と居間に来られました。
流しの食器を「こんなに溜めて」と洗われていました。
洗濯物を「こんなに、しわくちゃだわ」と丁寧にシワをのばし畳まれていました。
毎度、どんな感じですか等とお聞きすると、話しをはぐらかされていましたが、この間は、「いつまでも人の役に立ちたいです、うん。」と手を動かしながら話されていました。
日常の、行動に良い気持ちをのせておられるかな、どうなのかな。

08:41 | Posted by kimisanchi

【初めまして。】  お寺のよこ 元谷

2017年02月28日 | お寺のよこ

10月下旬から、お寺のよこに勤務をさせていただく事になりました元谷と申します。僕にとって、お寺のよこが人生で初めての介護の現場です。
予め講習を通し知識としての介護の現場は知っていたものの、実践は初めて。戸惑うこと、焦ること、日々色々なことがあるなかで、職場の先輩、そして入居者さんに助けられ教えて貰っている毎日です。
そんな中でよく先輩方の仰る言葉の中に「自分の親だと思って介護をしなさい」というものがあります。
自分の親です。
思えば今まで僕は自分の親と一緒に料理を作ったり、散歩に行ったり、誕生日を祝ったり、そういった経験があまりに少なく自分は親不孝な子だったろうかと自問しながら仕事をしています。慣れない料理、散歩に誕生日会。
入居者さんはこんな自分と一緒に居てどう思っているのだろう?とふと疑問に思うことがあります。そんな時、入居者さんから「ご飯はもう食べた?」「電話鳴ってるよ。」「今日は徹夜?少し寝たら」「早く彼女作れ」と言葉を頂くと つい広島にいる母を思い出しその言葉が記憶の中で被ります。
自分の家族のように心配し気遣ってくださる入居者さんに感謝しながら、改めて自分の親と思い介護をしていこうと日々仕事に励みます。

08:40 | Posted by kimisanchi

編集後記

2017年01月31日 | 編集後記

「鼻めがねという暴力」と言う本を書かせていただき、そのことで講師するときにいつも悩むのが職場でのチーム作りの在り方です。虐待を防ぐのにチーム力は欠かせません。
それを実現させるのは大変な労力と時間を要します。特に、管理者の担うものはとても大きなものになります。
チームは、目的を共有し理解していること、理念を理解していることが大前提になります。
認知症対応型共同生活介護では、「有する能力に応じた自立」を支援することが大きな目的の一つです。また、その目的がをただただ追い求めるのではなく、その支援の在り方が間違っていないか確認するために戻るところが人権の尊重や尊厳の保持などの理念となります。
これらのことを言葉として理解するだけではなく、日々の支援を目的や理念に沿った形でチームで実践することが、私たちに求められる力量だと考えます。(林田)

08:41 | Posted by kimisanchi

【言葉が無くても】  きみさんち 尾籐

2017年01月31日 | きみさんち

言の葉「ことのは」には大きな力があります。
でも、決して万能ではありません。
力が大き過ぎて、時として人を深く傷つけてしまいます。
人は生まれ、いつかは障害状態となり、生命を終えます。
生まれながら重い障害を持つ人の中には、生涯、言葉を発しない人もいるかもしれません。
どっこいしょ初投稿の記事では、きみさんちのお仕事を通して私が学んだ大切なこと。

~言葉がなくても「ひと」と「ひと」は繋がれる~

私は、介護のお仕事は全く未経験で、この6月から「きみさんち」のお仕事を始めました。
きみさんちでお仕事をしたいと思ったきっかけは、誰もが障害状態(認知症を含む)になっても、住み慣れた場所で安心して暮らしていけることを大切にしている事業所だと思ったからです。

私は子どもの頃から人付き合いが不器用で、人と打ち解けるのに時間がかかる人でした。
何か面白いことを言わなければと考え過ぎて緊張してしまったり、物事のタイミングが掴めなかったり。

きみさんちの他の女性職員は、機転が利く上に話題が豊富、合いの手もお茶の子さいさい。
私はご入居者様が唄われている歌が演歌なのか歌謡曲なのかも全くわからず、ただでさえ話し下手な上に、共通の話題すらありません。
はじめは職場でお話をするのが苦痛でどうしようもなく、私にこのお仕事は無理かもしれないと感じることが少なくありませんでした。
私がこのお仕事を楽しいと感じるようになったきっかけがありました。

入居者の方と一対一になったときの出来事です。
「あなたは本当に不器用な人ねぇ。あなたみたいな人は、ここでのんびり働くのがいいのよ」と言われたんです。
私が全く未経験の職種で、必死でがんばってコミュニケーションを取ろうとしている様子を見ていて、全然うまくやれてないけど、「ああ、この子がんばってるな。そんな無理しなくてもいいのに」って思ってくださったんでしょうね。
それがきっかけで、無理に話そうとするのをやめました。
頑張って話すんじゃなくて、自分が逆の立場だったらどうして欲しいか。
それを考えることにしたんです。

私は家では静かにのんびり過ごしたいなぁとか。
そっとしておいてほしい。
けど、ちょっと困っているときは、さりげなく、手を差し伸べてくれたらうれしいなぁ。とか。
後は、五感に気持ちがいいことが好きとか。

自分がしてほしいこと。
アロママッサージなどを勤務の隙間時間に毎回やっていたら、入居者さんが私のことしっかりと覚えてくれるようになりました。

今はテレビのニュースを見て、談笑したり、外出の途中で、昔のお話を色々と聞かせてくれたり、しっかりとコミュニケーションが取れるようになってきました。

私は、話下手なので自分からは殆ど話しかけません。
ただ、自分がして欲しいこと、自分の五感が喜ぶことを入居者さんにし続けただけですが、コミュニケーションが取れるようになりました。

不思議で、不思議で。
面白くて・・・。
このお仕事にどんどんはまってきています。

08:39 | Posted by kimisanchi

【Sさん「おかえりなさい」】  のんびり家2F 新山

2017年01月31日 | のんびり家::のんびり家 2F

9月下旬から入院していたSさんが、11月上旬のんびり家に帰ってきました。

とある日、仕事が終わりSさんが入院しているK病院にお見舞いへ行った時の事です。
個室へ入ると変わり果ててベットに横になっているSさんをみてびっくりしました。
ボーっと白い天井をただ眺めている様子で目を見ると、とても元気のない悲しそうな目をしていました。
挨拶をすると「はて?どちらさまですか?」と小さい声で私に話し掛けました。
マスクを外し「お久しぶりです。私の事わかりますか?」と問いかけると「はい。わかります」と頷き、「あなた、ずいぶん忙しかったのね。」と私の顔をじーっと見ていました。
私は胸中で「ずっと待っててくれたのかなぁ、、、」と申し訳ない気持ちになりました。
ここには書きませんが色々お話しをしました。
帰る時に「あなた、外は寒いから気を付けて帰るのよ」と涙をツーっと流すSさんの姿が忘れられません。
駅に向かいながら涙が止まりませんでした。
その夜は、色々考えてしまってあまり眠れませんでした。

そして、のんびり家に帰って来たSさん。「おかえりなさい」と。

08:19 | Posted by kimisanchi

【おじゃりもうせ】  のんびり家3F 吉田

2017年01月31日 | のんびり家::のんびり家 3F

どっこいしょの文章を書くのは数か月ぶりです。お久しぶりです、のんびり家3階の吉田です。
今日は種子島出身のHさんとの旅行の話しを書いていきたいと思います。
旅行の計画が持ち上がるようになったのは1年半ぐらい前だったでしょうか、ADL(日常生活動作)の状態も良好で歩行などにも問題はなく、一般的に言われる迷惑行動のような周辺症状も滅多にないHさん。
家事をばんばんこなし、健康状態も良好。
そんな状況でしたので、遠距離の旅行でも行ってみてはいいんじゃないかというような話が時折り出るようになっていました。
ところが一昨年の秋に転倒して利き手の右手首を骨折してしまったのです。ギプスをして治療をしてはいましたが、長年使用してきた右手は習慣で動かしてしまいます。
その結果、右手首は少し変形して治癒してしまいました。
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しかし動かしていたことが良かったのか、その後の痛みもなく、心配だったADLも維持されていました。
鴨川への宿泊旅行も楽しんでくることができました。
しかし時折り話しに出ていた旅行先は種子島です。鴨川へ行くのとはわけが違いますし、スケジュールやリスク管理、マンツーマンで寝ずに丸二日対応をする職員の体力などなど。
課題はたくさんありましたし、そこまで現実味はないのではないかと考えていました。
そして年が明け2016年、Hさんの様子が少しずつ変わってきたのです。
今まで職員の手を借りずに行ってきた家事に職員の支援が必要になってきました。春から夏になるころには能力の低下が顕著になってきたのですが、経験不足の派遣職員が短期間のうちに入れ替わりで関わるような状態も重なり、混乱しているような状況も見受けられるようになってきました。
Hさんは「待つ」ということが出来る方です。
これは施設などでは諸刃の剣だと思います。待つことが出来ると事故のリスクはぐっと減るのですが、待つことが出来るがゆえに後回しにされる可能性があるのです。
実際にHさんの能力低下も、後者の理由が一番影響しているのではないかと考えています。
私たちは入居者さんに等しく必要なサービス(支援)を提供する必要がありますし、入居者さんは等しくサービスを受ける権利があります。
しかし人手不足が話題に上がる昨今、大半の施設でそれが出来ていないのでないのかと思います。
そんな影響をもろに受けてしまったHさん。それを挽回したいという気持ちをずっと持っていました。
そして能力の低下を目の当たりにしていると、行くなら今年しかないという思いもありました。
「鹿児島県、西之表、田屋敷」
色々なことを忘れてしまっていても、この地名はいつもHさんの口から出てきます。
そんな場所。
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写真は西之表市の田屋敷地区で見つけた古そうな石橋の上で撮ったものです。
田屋敷地区は住所としては存在せず、地区としてもそれほど広くはないエリアでし
た。Hさんの昔の記憶が目を覚ますことはありませんでしたが、このあたりで育ってき
たのではないかと考えられ、Hさんと同じ名字の方もこの地区に複数いらっしゃるようでしたので、かなり近いところまではたどり着けたのではないかと思います。
到着した直後は少し表情の硬かったHさんですが、田屋敷地区や宇宙センターを訪れた翌日の表情はガラッと変わっていました。
36時間マンツーマンで睡眠時間は合わせて1時間半程度、とても大変な旅行ではありましたが、少しはHさんとの関わりを挽回できたかなという気持ちにさせてもらいました。
空港への帰り道でとても海が綺麗な砂浜に寄ったときに、「こんな綺麗な種子島ならこのまま住んでもいいね」と聞いてみました。「1人じゃわかんないから」とボソッと言っていましたが。
お土産屋さんでは同じものをいくつも手に取り「みんなに買って行こう」と話していました。
種子島に来られて良かった、でも帰る場所はのんびり家。そう言ってくれたような気がしました。
「Hさんの出身は、種子島の西之表の田屋敷」「良く知ってるね、うふふ」
そんな会話がいつまでも出来るよう年を重ねていってもらいたい、そして必要な支援を提供できるのんびり家でありたい。
あらためてそう感じさせてもらった種子島でした。ありがとうHさん。これからもよろしくね

08:19 | Posted by kimisanchi

【☆違いは恵み☆】  お寺のよこ 倉澤

2017年01月31日 | お寺のよこ

早いものでお寺のよこで仕事をはじめて、8ヶ月が過ぎました。
おっちょこちょいで鈍間な私を忍耐強く見守ってくれるチーフをはじめ、スタッフには感謝の気持ちがいっぱいです。
さて今回は、お寺の入居者様の得意なことを紹介させていただきます。
現在、お寺のよこには、9名の個性豊かな入居者さんがいらっしゃいます。
群馬県名産のお切り込みうどん作りが得意なTさんは、夜空を観ることが大好きなロマンティスト。
自室の窓からお月様を眺めている後ろ姿は、とても可愛いです。時々、夕方になると、娘さんや息子ざんのことが心配になるSさんは、お裁縫が得意で雑巾なども縫ってくださり助かります。
ペン習字が得意なIさんは、毎日時間を決めてペン習字の練習や計算ノートを広げ、頭の体操をしておられます。
以前小料理屋さんを経営されていたNさんは、最近指先に力が入らず、マイ包丁を持つことが難しくなりましたがいつも献立のヒントや味付けのアドバイスをしてくださり、皆さんの胃袋を楽しませてくれています。
東京音頭を口ずさむと陽気になられるKさんは、寝起きの笑顔がいつもニッコリ!思わず今日も頑張ろうと思える瞬間を与えてくださいます。
朝のごみ出しも嫌な顔せず協力的な男性のKさんは炒め物や揚げ物なども丁寧に作ってくださいます。
意思の疎通が少し難しいWさんの瞳はとてもチャーミング!目と目を合わせてゆっくりと話かけ、気持ちを伝える、感じとれるように心がけています。
9月と10月に新しく入居されたお二人も、皆さんと同じように素敵な個性が最大限に発揮できるように、その人らしさを受け止め、支援に繋げていきたいと思います。
これから冬本番を迎えます。
生姜の蜂蜜漬けで風邪予防し、元気に過ごしましょう。

08:18 | Posted by kimisanchi