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【それぞれの世代それぞれの文化】 のんびり家2F 鈴木

2014年09月09日 | のんびり家::のんびり家 2F

どうもどっこいしょ6回目の登場です鈴木です。食欲の秋ですね。食べ物が美味しくて仕方ありません。ちょっとリバウンド気味かもしれません(笑)
今回は好奇心旺盛なYさんについてお話させて頂きたいと思います。
Yさんは新のんびり家開設時から入居されており、国語の先生をなさっていたということで、難しい漢字の読み書きや色々な言葉をご存知で教養が深い方です。
そんなYさんが熱心に夕方のニュースをご覧になっていた時の事です。ニュースの内容を読んでいたYさんが隣に座っていたTさんに「ねぇ見て。あなた『ツィッター』って何だか分かりますか?」と尋ねていました。Tさんも「さぁ分からないわ」とYさんに答え、Yさんが残念そうにしていると偶然私と目が合い「あのぅ。あなた『ツィッター』って何だか分かりますか?」と尋ねました。
私もあまりSNS関係に疎かったので少し説明するのに戸惑っていましたが「そうですね、自分が今思っている事を文章にして呟いて、それをテレビの画面のようなものに出し、他の人に知って貰うコンピュータの道具ですかね?(笑)」と言うと何となくYさんも理解されたようで「へー『ツィッター』って面白いですね」と納得した様子でした。その後もYさんは「『ツィッター』って面白そう」とTさんと話していました。
私は高齢者福祉の現場に携わって今年で7年になりますが、今まで「お年寄りの事を知りたい」と言う想いから、昔流行した歌謡曲や民謡を覚え、お年寄りの方々と歌ったり、テレビでは今まで見なかった時代劇や相撲等を見るようになったり、以前の職場では足踏みミシンを持ってきたお年寄りから足踏みミシンの使い方を教えてもらい、雑巾が縫える位まで上達したりと「お年寄り世代の文化」に触れる事が多くなりました。またそれが楽しくもありました。
しかし私もまだ27歳。お年寄りからしたらまだ若者、そんな私にも「若者世代の文化」はありますが、お年寄りの前ではあまり見せないようにしてきました。
そんな中、私がある女性職員からお年寄り何名かでカラオケに出掛けたときの話を聞いた時の事です。やはり昔馴染みのある曲をお年寄りと歌う事が多かったとの事でしたが、最後にその女性職員がAKBの歌をお年寄りの前で歌ったそうです。女性職員もお年寄りに「どうゆう反応があるか」と思って歌ったそうですが、皆最初は戸惑いが見られたものの、次第にふりに乗り始め手拍子までしてくれ、喜んでくれたとの事でした。
この話を聞いて私も「いくら世代が違ってもお互いの世代の文化に興味を持つことはより良い関係性を築くうえで必要なのかもしれない」と考え、そらからは自分の中で流行していることをお年寄りに発信する事が増えました。
今回のYさんの「ツィッター」の質問を私にしてきたのも、日常で私からYさんと最近の流行の事等を話す、行っている課程からあったからかもしれません。
近い内に私も「ツィッター」の内容を理解してYさんと日頃の思いを呟けたらと思います。

16:09 | Posted by admin

【Kさんと荻窪へ】 高橋 

2014年09月08日 | きみさんち

先日、入居者のKさんの誕生日企画で荻窪へ行ってきました。色々とどこへ出かけようか私なりに考えたのですが、最終的に昔から馴染みのある荻窪へ行き、リフレッシュして頂こうと企画を立てました。
駅前からバスで向かったのですが、バスから見る町並みはずいぶんと変わられたようで「すっかり変わったね」と何度も話されていました。
Kさんは食事の話になると「トロが食べたい、一杯飲みながら・・・」とよく話されていたので、回転寿司で食事をしてきました。
最初は廻る寿司をみて驚かれていましたが、マグロを見ると「これいいかな」と御自分でお皿を取り、召し上がっていました。ビールを飲みながら、寿司を食べるなんて幸せだね。と満面の笑みで話され、特に玉子が気に入られたようで「もうひとついい?」と美味しそうに召し上がっていました。
駅前に立つと昔の色々な事を思い出されるようで、駅ビルの事は特に思い出深いようでした。サウナがあったことや、毎日のように地下の食品売り場で買い物をされたことなどを話してくださいました。「食品売り場に行ってもみようよ」と声を掛けると「私が案内してあげるから」と歩きなれた様子で進んで行かれます。八百屋さんへ来ると「いやぁ~久しぶりだね」と店員さんから声を掛けられました。お店にいた店員さん皆さんが、Kさんのことを御存知でした。「ずいぶんと痩せたけど、元気そうで安心したよ」と言われ、「覚えていてくれただ」と話も弾んでいました。
何とも楽しそうにおしゃべりしているKさんの横顔を見て、少しだけ昔のKさんの生活が見えたような気がして私までが温かい気持ちになりました。
その後も懐かしんでか、何度も食品売り場を歩き回りました。「今日は本当にいい日だった。久しぶりに楽しかった」と帰りのバスの中でお礼を言ってくださったKさん。
「こちらこそ、楽しい一日をありがとうございました」とお礼を伝えました。
この一年も、Kさんにとって素敵な一年になりますように・・・。

16:08 | Posted by admin

【ゆれる】 お寺のよこ 光岡

2014年09月01日 | お寺のよこ

お寺のよこでは、今年の2月中旬から4月初頭に掛けて4名の方が新たにご入居されました。
4名の方は、それぞれ新しい環境に戸惑い、迷いながら日々過ごしておられるようにも感じます。慣れない共同生活に、自分なりの方法で折り合いをつけたり、バランスを取っておられる姿を見ると、その方の人間性や逞しさを感じるとともに、我々職員が出来ることは何なのかとても考えさせられます。以前からご入居されていた方達にとっても、見慣れない方が期間をおかずに複数ご入居されてきた訳ですから、戸惑われている方もいらっしゃるようです。
以前どっこいしょの記事に書いたことがありますが、昨年お寺のよこでは長年生活をされてきた入居者の方が相次いでご逝去されました。昨年は、6月と11月にご入居された方が2名いらっしゃいます。1年間の中で入居者の方が2/3入れ替わったこととなります。
恐らく、お寺のよこがオープンした平成13年以降、これだけの変化が起こったことはこれまで無かったかと思います。入居者の方は勿論ですが、職員も日々手探りで、ともに生活を創っているところです。
環境が新しくなるとこれまで、当然のように思われてきたこと、深く考えることもなく、行なってきたことが、「本当にそれは当たり前なのか」「もっと深く考えるべきではないのか」と突きつけられる瞬間が多く、改めて人を支えるという仕事の難しさ、難しさ故の楽しさ、おこがましさ(この表現は語弊があるかもしれませんが)を感じさせられることが多くなりました。
前回のどっこいしょの記事で田口が書いておりましたが、新たにご入居された方の誕生日の際に、入居者の方々が口々にお祝いの言葉を述べて、ごく自然にもらい泣きをされていた方が複数名いらっしゃったようです。ある職員がそのことについて「自分の人生の中で、人の為に泣くということがあったかどうか(これからもあるかどうか)。入居者さんは凄いですね」と言っていたことが印象に残っています。ご入居されて間がなかったとしても、その方の存在を他の方達が十分に認めて、ともに記念の日を心から祝う。当たり前のようでいて、実は中々出来ないことなのかもしれません。
ふと見落としてしまいそうな入居者さんの他者を思いやる力。戸惑い、迷っておられることはありながらも、日々の営みの中で、入居者の方は逞しく生活されておられます。我々職員も入居者の方と日々迷い、ゆれながら、ともに過ごしていくことが出来ればと思います。
最後に、前述した誕生日会が素敵なものになるように色々と考えてセッティングをしたスタッフ達の影なる力に、少しばかりの拍手をさせて頂ければ幸いです。

16:10 | Posted by admin

【1年目と移り変わり】 お寺のよこ 岡田

2014年08月10日 | お寺のよこ

お寺のよこに入職して8月でもう1年目・・・いや、まだ1年目と言うべきでしょうか。月日が経つのは早いと感じている時と、そうでない時がありますが、1年となるとそうでないと感じてしまいます。
でも、たとえ1年と言っても、あれからそれくらい経ったと考えてしまうと、やっぱり早いと感じてしまいますし、場合によってはもう10年経ったと感じてしまう人もいると思います。
入職した時は入居者様が9名の定員ではありませんでしたが、今年の2月に1名、3月に2名、そして4月に1名の方が入居されて、今年になってようやく活気にあふれてきたと感じました。
ただ、4月に入居されたNさんが、7月に脳梗塞で搬送され、8月いっぱいまで入院するとの事だったのですが、お寺のよこに戻るのが難しいと判断され、9月で退去するとの事なので、お寺のよこがまた少し変わっていく様子でした。
職員の方もパートですが1名入職された一方、常勤の職員1名が8月いっぱいで退職する事になったので9月から忙しくなりそうです。
2年目になりましたが、今後、お寺のよこは一体どうなることやらと思う今日この頃でした。

08:50 | Posted by admin

【記憶】 のんびり家2F 飛鳥井

2014年08月10日 | のんびり家::のんびり家 2F

皆さん、こんにちは。どっこいしょ登場も8回目になりました、のんびり家2階の飛鳥井です。
今年の夏は猛暑に加え、ゲリラ豪雨があったりと、各地で甚大な被害が出ているところもあり、被災者の方達の心情は図り知れないですね。1日も早い復興をお祈りしたいと思います。
今回は、Yさんについてお話ししたいと思います。
Yさんは大正12年生まれで、現在91歳。のんびり家が開設した時点からのご入居なので、この夏で丸4年を迎え、5年目になりました。
Yさんの家は、日本で唯一の爪楊枝専門店で、ご主人が会長を、息子さんが社長を勤められています。雑誌やテレビでも紹介されている老舗のお店です。
Yさんのご主人は90代も半ばの年齢ですが、とても矍鑠とされていて、時折お一人でYさんを訪ねてきます。
必ず果物やケーキ、サンドイッチなどの手土産を持参され、Yさんとお二人で仲睦まじく自室でお話をされながら、持参したものを召し上がって帰られます。
お二人の姿を見ていると、とても微笑ましく、長年苦楽を共にされた深いきずなを感じます。私はまだ独身ですが、もし将来結婚したら、Yさんご夫婦のようになりたいなと思っています。
Yさんは才女で、理屈が通らないことに対しては、納得するまで話をする方でしたが、ここ最近は、身体状況にも変化が見られ、また様々な認識力も低下してきています。
ある日の夜間に、トイレ誘導した時のことです。お部屋に戻り、椅子に座りながらジュースを飲んでいたときの会話です。
Yさんの視線の先に貼ってある写真を見ながら、「この写真の方は、どなたですか」と聞くと、「私の母よ」「お母様ですか。お母様のお名前はなんとおっしゃるのですか」と聞くと、ご自身の旧姓とお母様のお名前をきちんと答えてくれました。
実は、以前にも同じような状況で、同じように写真を見ながら質問をしたことがあったのですが、このときにもYさんは同じように答えてくれました。
認知症の方は、新しいことを覚えたり、したりすることが難しくなると言われています。
確かに、Yさんも記憶障害が見られ、ほんの数分前の出来事を忘れてしまったりします。このような症状はありますが、過去の記憶は鮮明に覚えていて、こちらの質問にも的確に答えてくれます。
Yさんと接していると、出来ないこと、解らなくなってしまったことを数えるよりも、例え過去のものであっても、ご自身の中に鮮明に残されている記憶を大切にして生活していくことの方が重要であると実感します。
最後になりましたが、Yさんに「生まれ変わっても、ご主人とまた結婚しますか」と聞くと「するわよ」と即答してくださいました。
良き伴侶やご家族に恵まれているYさん。これからも、のんびり家でお元気に過ごされることを願っています。

08:44 | Posted by admin

【自慢話】 のんびり家3F 渡辺

2014年08月10日 | のんびり家::のんびり家 3F

ここ数年夏の暑さがとてもキツイ・・・。今年は思ったより短い夏のような気もしました。季節はずれですが、お正月のお話をさせてください。
グループホームは365日休みなく運営されていますが、日々の利用者さんの顔も365日違うわけで、未だ知らない顔もあったりします。今年のお正月は私がのんびり家に来て2回目のお正月でした。
恒例の?お寺のよこの方たちにお呼ばれされて、お餅つき大会に参加しました。
2階の利用者さんとえっちらおっちら、なかなか合わない足並みをみんなで頑張って合わせながら歩いていきました。
Hさんは唯一、毎日買い物に行かれる方です。他の方のように「なんでもいい」とは言いません。Hさんには買いたい物があるのです。それが、毎日同じ物であろうとも・・・。
雨の日も風の日もリュックを背負い買い物へ。好きな物を買いすぎてしまった時は重くて大変そうです。のんびり家に着く頃には腰に手を当てながら歩いています。
そんなうしろ姿を見ながら過ごして2回目の今年のお正月です。
鍬を、天井をぶちぬくのではないか!?というぐらい振り上げてお餅をつくHさん。疲れ知らずのように、何度も何度も振り上げては餅をつく。あんな姿勢の良いHさんを見たのは初めてでした。そして、とても楽しそうな顔をしています。どうだ!というような。
こんな自慢すべきところがあったのか!と私も嬉しかった。知らないことってまだあるのだなぁと思いました。どうぞ、Hさんの勇姿をいつか見に来てください。

08:29 | Posted by admin

【本】 堀内

2014年08月09日 | きみさんち

きみさんち 堀内です。入社して9月で丸4年になります。改めまして、どうぞ宜しくお願い致します。
きみんさんち4年になりますが、未だ慣れません。(いい意味でですよー。)入居者さんと過ごす1日に同じような日がなく、本当に毎日新しいことだらけです。嬉しいこともあり私、向いてないかも!って思うこともあり色々な感情がぐるぐると。

そんな私のストレス解消方を今回は載せたいと思います。

私は、嫌なことや落ち込むことがあると、空いている時間は全て読書・映画を観る時間に注ぎます。
本は、他の人の人生に関われた気がしたり、新しい考え方を教えてくれるからマイナス思考になったときには、とにかく読みふけります。私は基本的に悩むのは苦手で、考えることは好きなタイプ。

そんな私が、ここ最近前向きになれた、本にあった言葉を御紹介したいと思います。
自分が介護の仕事向いてないなぁと思ったときに、医者の話なんですが、「心配しなくても、あなたみたいな医者は世の中に溢れてる。日々の診察に追われて、どんどん最新の情報からとり残されていく医者。よりタチが悪いのは、それでも自分は出来ると思い込んでいる連中かしら。」「医者って言うのはね、無知であることが、すなわち悪なの。私はそういう覚悟で医者をやっているのよ。」「この仕事は続けることが一番大事だよ。」なんだか、自分のことを言われているようでした。

介護の仕事を向いてるか向いていないかを悩むよりも、やるべきことが、まだまだあるなと。知識不足の私が、色々なことを勉強して現場で役立てることが大切だし、悩んでも答えは出ないと吹っ切れました。
続けることが大事という言葉にも、まさにそうだなと共感しました。ぼーっと悩むよりも本を読んで解決。これで私はストレスがなくなります♪皆様はどういったストレス解消をしているのでしょうか?気になります・・

以上、きみさんちどっこいしょでした。私事の話で申し訳ありませんでした。次回は入居者さんのことを載せます。

16:08 | Posted by admin

【東京駅でランチブッフェ】 お寺のよこ 後藤

2014年07月10日 | お寺のよこ

社会人になってから、1日1日があっという間に過ぎていきますが、最近は特に時間の進みが早い気がします。
去年あったことを思い返すと、「あれからもう1年たったのか」としみじみ考えることがあります。お寺のよこで働き始めてから2年経たない今年5月に、外出企画で東京駅に行きました。ホテルでのランチブッフェと、皇居散策です。昨年の宿泊旅行が中止になったための企画だったので、「楽しんでもらえるようにがんばろう」と思う反面、自分が仕切る立場になることは今までの人生でほとんど無かったことなので、とても緊張しました。
当日は、思いもよらないハプニングが多々あり(「私は行かない」とおっしゃる方がいたり、逆に1時間以上早く外出している方もいたり)、移動時間も思っていた以上にかかりましたが、最終的にホテルでの昼食は、皆さんでいただくことが出来ました。
いつもと違う雰囲気の中、いつもよりたくさん召し上がるSさんや、食べたいものを食べたいだけ選んでいるみなさんの楽しそうな表情を見ていると、企画が出来てよかったと、うれしくなりました。その後時間が無く、皇居散策は出来ませんでしたが、東京駅をバックに撮った記念写真は宝物です。(残念ながら全員で撮ることは出来ませんでしたが)10月には宿泊旅行を予定していますが、どんな表情を見ることができるのでしょうか。今からわくわくしています。今年は中止になりませんように。

08:51 | Posted by admin

【Kさんとの日々】 のんびり家2F 石井

2014年07月10日 | のんびり家::のんびり家 2F

ちょうど蒸し暑い日々が続いていますが(7月中旬なので進行形です)今回は5月の上旬にのんびり家から旅立たれたKさんとのことを思い起こしてみたいと思います。

Kさんとの出会いはのんびり家が引っ越したちょうど4年前に遡ります。
当時は、人を寄せ付けないような雰囲気をかもし出しながら、のんびり家での生活が始まりました。

最初の頃は、居室のドア付近に置いてある椅子に腰掛けながら、周囲の様子を伺っていました。表情からはのんびり家で生活されることに、まったくと言って良いほど納得されている様子は見られませんでした。居室の椅子から、のんびり家の居間をじっと見ていたり、職員の動きやその一挙手一投足を逃さないようにしているような雰囲気さえありました。実際Kさんは、ほとんどのことがお見通しのようでした。

職員が挨拶や声をかけようとするとバタンとドアを閉め、施錠をされ、職員はまともに会話をすることさえ出来ないことも多々ありました。そんなKさんではありましたが、誰でも平等に空腹はやってくるようでした。徐々にのんびり家の生活に慣れてくると、他の入居者との時間、職員との会話も少しづつ増えていきました。

しかし、どうしても入浴には気持ちが傾くことはありませんでした。職員はタイミングを図ったり、医師からのお手紙作戦など試しましたが、どれも決定打がなく、Kさんは慣れてくるとそれさえも上手くかわすようになってきました。

そうこうしているうちに、時間ばかりが経過してしまっていたため、しっかり時間を設けて1度話してみようと思い立ちました。Kさんの居室に入り1時間弱。(その細かい詳細は私だけの宝物となっています。)その時、私は一切先のことを考えず、真正面から意見をぶつけ合ってみようと心に決めていました。案の定、Kさんは大声で「出て行きなさい、私はあんたなんかに用事はないんだから。出て行かないと叩くよ。」と他にも威勢の良い声が聞かれました。そこで、ひるむわけもなく意見を互いにぶつけ合いました。

そこには、支援のあり方など細かいことは一切関係なく、私という人とKさんという人が互いの思いを尊重しながらもぶつけ合うだけの時間でした。

最終的には「あんたみたいなしつこい人間は初めてだよ。もう疲れてうんざりだよ。女の人がいるならお風呂入ってもいいよ。」と返答がありました。数分後、約束通りに女性の職員が対応し入浴されました。

人との関わりを好んでいなかった雰囲気のKさんは、月日が経過し買い物に出掛け、食事を作り、外食にも出掛け、のんびり家の宿泊旅行にも参加されました。Kさんが他の入居者を江戸っこ気質で励まし、他の入居者がそれに呼応する、そんな場面さえ見られるようになっていきました。やがて、脚力が落ち、食欲も落ち、身体機能が徐々に低下をし入院されました。最終的にはKさんの病院から出たいという意思を尊重する形で、のんびり家に戻りました。そして、退院から3日後の昼頃に旅立たれました。

短い4年という月日ですがKさんは私たち職員に色々なことを教えてくれました。人は1人では生きていけないこと、人との関わりが大切なこと、人を信じること、人との信頼関係を築くこと、当たり前のことがとても尊いこと・・・・・。

Kさんは最期まで多くのものを残してくれました。私自身も最期を看取るという経験がありませんでした。
Kさんの容態が日々変化していく中で個々の職員もそれぞれの想いもあったと思います。それでも、Kさんのことを支えたいという揺るがない思いがあったからこそ、色々準備不足な面や反省点はありますが、Kさんとの時間を大切にしていきたいと願ったことがなによりであったなと感じています。

個々の職員がKさんと向き合い、最期を看取り、今後Kさんの残してくれたことを大切にじっくりと考えながら支援に繋げていければと思います。そうすることで、江戸っ子のKさんの「あんた、馬鹿じゃないの、笑っちゃうよ。」という威勢の良い声を、いつでも心の中で聞かれるのだと思っています。

08:43 | Posted by admin

【自宅で生活する母、グループホームで生活する入居者さん】 のんびり家3F 竹田

2014年07月10日 | のんびり家::のんびり家 3F

夏休みは私事ですが、新盆でもあり家族3人で実家に帰省して墓参りをしてきました。
一人住まいになった母親は、幸いにも(気丈にも)葬儀後のシュンとした様子とは打って変わって食事の用意をしたり何でもやる気を出して案外元気でした。
夏まつりでは夕方家を出て獅子舞を楽しんだらしい。夜に打ち上げられた花火も堪能したというから驚きだった。
当初一人暮らしになってしまうことが不安でした。しかし町の福祉課職員のサポート、介護保険での訪問支援、社会福祉協議会からの支援、そして何よりも隣近所の方々のお世話になりながらどうにか一人暮らしが維持できるようなサポート体制が整いました。
介護度もランクが下がり、訪問回数は減らされたものの、身体状況は改善していることにほっとしました。
何と言っても今まで通り自宅で生活ができることが一番で、夫である父が居ない寂しさは当然でしょうが、自宅で生活していく決意と覚悟みたいな気迫が感じられたのが救いでした。父がやっていた庭の雑草を刈ってやり植木の剪定をしてやり、なすやトマトなど畑の作物を収穫して3度の食事の世話などをして帰りました。
「秋に庭木の雪囲い(雪吊り)はどうする? お前にできるか?」などと先のことまで心配しているくらいだから認知症の症状など心配することはなさそうである。
さて、東京にもどるとすぐにグループホームの仕事に就きました。ここで生活する入居者様はそれぞれの事情で家族のもとを離れて共同生活をされているわけですが、心のどこか隅に「自宅で暮らしたい」「家族と暮らしたい」という気持ちがあると思います。共同生活では制約もありますが、少しでも元の自宅での生活の延長線の生活ができるような支援に心がけていきたいと思います。

08:42 | Posted by admin

【花好きが高じて】 松林

2014年07月01日 | きみさんち

桜が散って、綺麗なツツジが咲いた頃、利用者さんを誘って、近所の公園に行きました。
「公園にツツジが咲いたよ。真っ赤で綺麗だったよ」
「そうか、もうそんな時季か。行こう行こう」

出掛ける用意もそこそこに、玄関から外に出ると、晴天の空が広がっていました。
「良い天気だな。気持ち良い」
「そうだね。じゃあさ、何かお弁当でも買って、公園で食べようか」
「そりゃ良いね。そうしよう」

商店街のお肉屋さんで、チキンカツパンを購入して、販売機でお茶を買って、いざ公園へ。

公園内に入ると、あちらこちらにツツジの花が咲いているもんだから、それらひとつひとつに綺麗だと挨拶をされるもんだから、ベンチに座るまで何分も掛かります。

ようやくベンチに座って、購入したチキンカツパンを食べながらも、後ろを振り返って、「ツツジが綺麗だな」と、団子より花、チキンカツパンよりツツジの入居者さん。

食べ始めると、ハトが沢山近寄って来て餌をねだっています。
そんなハトに、パンの切れ端を与える入居者さん。

食べた量よりハトに与えた方が多かったのではと思える程でしたが、お腹が満たされた入居者さんが、そろそろ帰ろうと言います。
「そうだね、ハトも満足しただろうし、帰ろうか」
そして、ベンチを離れた入居者さんは、ツツジの枝をパキリと折って、「綺麗だな、持って帰ろう」と。
「あぁ~、折っちゃった?」「折らなきゃ持って帰れないよ」「だけどさ。。。」「オレは花泥棒だから」「じゃあ、もう2・3本泥棒して行く?」「もう、手が痛いからいいや」「どれが良い?」「それが良い」
今度は私がボキリと折ってしまいました。

きみさんちに帰った入居者さんはご機嫌で、盗って来たツツジを、他の皆さんに自慢気に見せながら、「綺麗だろう。良かったらどうぞ」と言って手渡していました。

残ったツツジは、自室に飾って、何時までも眺めて過ごされていました。
その翌日も、翌々日も、盗って来たツツジを眺めて居室で過ごされていました。

花好きが高じて、食欲が減り、盗人になり、部屋に籠ってしまう入居者さん。
そんな素敵な入居者さんは、丁度、私の倍、生きておられます。
素晴らしいと同時に、気の遠くなるお話でした。

00:00 | Posted by admin

【雰囲気作り。】 お寺のよこ 田口

2014年06月10日 | お寺のよこ

今回は利用者Nさんのお話を少しだけ交え記事を書きたいと思います。
この記事を書く僅か数日前お寺のよこではNさんのお誕生日会を行いました。
お寿司を食べ、誕生日ケーキを食べ、ロウソクの火を息で消し、御花を皆様から受け取る。特別な内容ではありませんが、今回は会の主役Nさんだけが、単に喜んでいてくれたのでは無く、利用者の方々が個々で共感をして涙ぐんで感動をされていました。
感動は伝染するなんて言葉を聞いた事がありますが、私が見た光景はまさにそうでした。空気感や雰囲気作りをするのは我々の大切な役目の一つであると思っています。主体者は9名の利用者様である事は念頭におきながら。
ステキな雰囲気を見逃さず利用者様から拾い上げ発信していければ望ましいです。
失礼いたしました。

08:52 | Posted by admin

【当たり前】 のんびり家2F 名倉

2014年06月10日 | のんびり家::のんびり家 2F

こんにちは、のんびり家2階、名倉 章夫です。どっこいしょ4回目の記載になります。
早いもので、のんびり家で働かせてもらって約2年の月日が流れようとしています。2年と言う時間の中で様々な事がありました。入居者の方々と一緒に笑い合えた瞬間、外出、旅行、様々な事を教えて頂いたり、時にはぶつかり合ったり、時には悲しい瞬間、涙が出て来る瞬間だったりと・・・・
時間と言うのは皆平等ですが、人によって時間軸と言うのは違うかと思います。入居者の方々1人1人もやはり時間軸は違うかと思いますが、自分が入居者の方々と2年間と言う時間を関わらせて頂いた中で、どの様に入居者の方達に影響してきたのかなと思い返す今日この頃です。
2年と言う月日の中で1番衝撃と言うか、心に刻み何時までも忘れては行けないと自分に誓った事があります。
2回目のどっこいしょ記載の際にも触れましたが、それは(当たり前))と言う気持ち、考えを、自分自身の考えから捨てていかなければ行けないと。
洋服を着る事、食事を食べる事、朝起きる事、歩ける事、その他色々ありますが自分自身の日常生活に当たって、日々自分が行っている事に対して当たり前と言う考えを捨て、上記の事を出来る事に感謝していかないと行けないと考えるようになりました。
日々入居者の方々を支援させて頂くに当たって思う事は、入居者の方達は1つの事をやり遂げるのに対して、人により差は多少ありますが、1つ1つがとても真剣に取り組んでいて、やり遂げると、とても良い表情が見れる瞬間があります。その笑顔にあるのは、達成感、又は自信でしょうか?そこは人に寄るかとも思いますが。
ただ上記の事に対しての入居者の方々1人1人の共通点は出来て当たり前と言う考えがない事です。だから素敵な表情が出てくるのかなと思います。
人は皆年齢を重ねていきます。自分が入居者の方々と一緒の年齢になったとイメージして今、のんびり家にいる入居者の方達と同じ考えが出ているのかと考えると全くイメージが出来ません。それは自分自身の考えの中に当たり前と言う考えが根強くあるからかなと考えます。
これから先時間は要すると思いますが、入居者の方達を見習い、当たり前と言う考えを少しずつ無くしていけたらと思います。

08:41 | Posted by admin

【美容院へ】 のんびり家3F 浅井

2014年06月10日 | のんびり家::のんびり家 3F

この間、入居者さんのYさんの髪が伸びたので、一緒に美容院へ行って来ました。
当日はあいにくの雨だったのですが、電車に乗り、行って来ました。美容院に着くと美容師の方に「今日はどうしましょうか?」と聞かれ、Yさんは「いつもと同じでいいです。」と答える。
美容師の方も前回の記録があるので、「耳を出すぐらいに切りますか?」と聞くと、「はい。短くお願いします。」とはっきりと答えていました。美容師の方も若い男性だったので、なんだか嬉しそうでした。
切り終わってから短く切った感想を聞くと、「やっぱり短いのは楽でいいわね。洗うのが簡単ね。」と嬉しそうに言ってくれました。この瞬間やはり女性だなと感じました。Yさん、ショートヘアもとてもお似合いですよ。

08:26 | Posted by admin

【出会いと別れ】 田中

2014年06月01日 | きみさんち

入社して約6年。きみさんちで色々な方に出会い、そしてお別れをしました。
中でも、5月にお亡くなりになられたEさんは、大変厳しい方で、何度も怒られた事を思い出します。思い出話となりますが、Eさんとの6年分のエピソードは書き出すときりが無いほどたくさんあります。

① 同姓と新人に厳しく、異性に優しいEさん
② 戦争中の話をエンドレスで話すEさん
③ 2・26事件を振り返り話してくれるEさん
④ きみさんちの顔役であるEさん
⑤ 商店街の人気者?のEさん
本当にきりがありません。

先日、他の方と行きつけの店に買い物に行ったところ、店のご主人から「Eさんこの頃見かけないけどどうしたの」と聞かれ、お亡くなりになった事を伝えると、「昔は、よく怒られたもんだったよ。」と懐かしそうに話して下さいました。
地域の方にも思いを馳せていただく事が出来るのは、Eさんが地域に根付いた人物であったからだと思います。
101歳・・・。
1世紀を生き抜いて、その中のほんの16年余りをきみさんちで過ごし、またその中のほんの一握りの6年間を一緒に過ごさせて頂き、大変嬉しい思いと共に、切なさを感じる思いで一杯です。
でも思うのです。この業界で人と死に別れると、どうしても「こうしてあげていれば良かった・・・」「こうしなきゃいけなかったんじゃないか」と後になって悔いる事が多いように思います。後悔先に立たず。ご本人はどう思っているか〔いたか〕、今となっては聞くこともかないませんが、少なからず、私は最後まで出来る支援は行ったと思い、これからも悔いる事の無い支援が出来るよう、日々精進して行きたいと思っています。
最後に、Eさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

22:56 | Posted by admin